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第1583話

「……まあいいや。じゃあ次の死合い、楽しみにしてるよ。言っておくけど、アクセルが本気ならこっちも本気出しちゃうからね」 「ああ、わかった。お互い頑張ろうな」  そう言って、ポスト前でチェイニーと別れた。  アクセルは家に戻り、郵便物をテーブルに置いてから庭に出た。  ――ほぼぶっつけ本番だが……何とかするしかないな。  死合い前に相手のことを調査したところで、何だかんだできる対策は限られている。  結局は普段どれだけ鍛錬しているか、どれだけ実力を磨けたかが重要なのだ。  毎日真面目に鍛錬してきたし、ランクも上がってきたのだから、必要以上に恐れることはない。  せっかくここまで勝ち上がってきたし、三回戦も勝利しなくては。 「ぴー」  軽く準備体操をしていたら、小屋からピピが出てきた。  その後アクセルはピピと庭を駆け回ったり、素振りや筋トレを行ったりして夕方までみっちり身体を鍛えた。  日が暮れて夕食は何にしようかと考えていたら、兄が外から帰って来た。 「ただいま~」 「おかえり、兄上。どこに行ってたんだ?」 「ヴァルハラからちょっと離れた鉱山にね。そういや最近、武器のメンテナンスしてないなぁと思ったんで、ついでに玉鋼を採掘してきたの」  そう言って、兄が持っていた巾着袋をひっくり返す。中からはやや小ぶりな玉鋼が複数出てきた。発掘したてなので、周りに土や石がこびりついている。 「お前、次の死合いはチェイニーくんが相手なんだよね? だったら武器のメンテナンスもしっかりしておきなさい。これ好きに使っていいから、最低限切れ味くらいは上げておきなさいね」  と、兄が玉鋼を全部こちらに差し出してくる。  意外なプレゼントに驚いて、アクセルは兄を見た。 「あ、ありがとう……。武器のことなんて忘れてた……」 「やだなぁ、お前それじゃ戦士失格だよ。せっかくしっかり身体鍛えてるのに、武器がボロボロじゃ実力を発揮できないじゃない」 「ボロボロのつもりはなかったが……確かにそうだな。たまには強化してくるか」

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