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第1584話
アクセルはテーブルに散らばった玉鋼を回収し、巾着に詰め込んだ。
小ぶりとはいえ、これだけの玉鋼を採掘するのはそれなりの時間と労力がかかったと思う。こうやってさり気ないところで思いやりを見せてくれるから、何をされても完全には憎めないのだ。……いや、もちろん浮気は嫌だけど。
「そう言えば兄上って、暗器使いとは戦ったことあるか? チェイニーが暗器を使うらしいんだが」
「おや、そうなの? じゃあチェイニーくんは元暗殺者 なんだね」
「元暗殺者 ……? 暗器使いってそうなのか?」
「大抵はそうでしょ。いろんな情報にも通じてるし、もしかしたらスパイみたいなことやってたのかもよ?」
「そ、そうなのか……全然知らなかった……」
でも、言われてみれば納得はできる。
細かい情報をいろいろ知っているし、どこに武器を隠しているかわからないところからして、まさにスパイそのものだろう。何かと機転も利くし、生前は腕利きのスパイだったに違いない。
すると兄は苦笑混じりに言った。
「しかし暗器使いとは大変だねぇ。相手の出方によって臨機応変に対応しなきゃいけないから、結構神経使うんじゃないかな。力任せに斬りかかってくるわけじゃないし、どこから攻撃が飛んでくるかもわからないから、ランク以上に強敵だと思うよ」
「そ、そうか……そうだよな……。どうしよう……」
「どうもこうも頑張るしかないよね。私も応援に行くから、精一杯戦うんだよ」
「あ、ああ……それはわかってる、けど……」
絶対に負けるわけにはいかない……が、相手が何をしてくるかわからないという未知の不安は消えない。
――暗殺者 って毒矢や飛び道具も使うんだよな……? そんなの使われたら、対応しきれないぞ……?
特に毒矢なんてのは、一回でも掠ったら致命傷になり得る凶悪な武器だ。狂戦士になっていようがいまいが関係ない。
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