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第1597話
「兄上……」
「うん、何だい?」
「次の死合いに勝ったら、またお守りみたいなものをくれないか?」
そう言ったら、兄はにこりと微笑んで頷いた。
「もちろんだよ。ご褒美として何か用意しておくね」
「……ありがとう。じゃあ俺、ちょっと出掛けてくるな」
アクセルは急いで家を出て、もう一度鍛冶屋を訪れた。
一日に何度も訪問しているので、エルフにも「またか」と呆れられてしまった。
「すみません。今度こそ武器強化お願いします。これと……あと、これを使って『属性抵抗』をつけてください」
受付のテーブルに自分の武器と玉鋼の巾着、それと首から外したペンダントを置く。
こうやって見るとやはり名残惜しくて、今でもまだ「本当にいいのか」と少し迷っていた。
――いや、大丈夫。形が変わるだけだ。お守りであることは変わらないんだから。
そう自分に言い聞かせ、「明日また来ます」と言い残して鍛冶屋を去る。
武器を預けてしまったので、明日までは走り込みや筋トレなど、武器を使わないトレーニングをして過ごすことになった。
庭でピピと一緒に走ったり、丸太を抱えながらスクワットをしたり、腕立て伏せをしたりして、みっちり筋肉に負荷をかけた。夕方頃には全身の筋肉がパンパンに腫れているような錯覚に陥り、クールダウンのストレッチにも苦心する有様だった。
「お前、いきなり頑張り過ぎだよ」
と、兄が笑いながら言う。
「筋肉痛にならないように、よく全身を解しておくようにね」
「ああ。死合い当日に筋肉痛で動きが鈍ったら、目も当てられないからな」
両腕をぐるぐる回して伸ばしたり、ぐいっと背中を反らしたり開脚して身体を倒したりと、念入りにストレッチしておく。
「それにしても、本当にお前強くなったよね。あと三回勝てばトーナメントも優勝だ。お前と直接対決できると思うと、今からわくわくが止まらないよ」
「気が早いな。あと三回っていうけど、実力が俺と同じもしくはそれ以上の相手と戦って三連勝って、結構大変なことだぞ?」
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