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第1599話
「やあアクセル。調子はどうよ?」
スタジアムの選手専用出入口で、偶然ばったりチェイニーと遭遇した。
彼は相変わらず丸腰のようにしか見えず、どこに武器を持っているかわからない状態だった。
「今日はよろしく。いい死合いにしような」
「ああ。お手柔らかに頼むぞ」
「それはこっちの台詞だって」
などと冗談めかして言い、チェイニーはポンとこちらの肩を叩いてきた。
「ま、お互い頑張ろうぜ」
そして、和やかにお互いの控え室に分かれた。
ロッカーに自分の荷物を預け、武器だけを携帯して入場口で待機していたら、次第に心臓がばくばくしてきた。緊張しているのか何なのか、手のひらから汗も滲んでくる。
――死合い前っていつもこうなんだよな……。一度始まっちゃえば緊張も忘れるんだが。
何度か深呼吸をし、緊張を抑えようと努める。
時間になったので、スタジアム中央に進んだ。
観客席は当然のように満員で、ボックス席には兄の姿も見えた。ちゃんと応援しに来てくれてよかった。
反対側の入場口からチェイニーがやってくる。さすがに今は小型のボウガンらしき武器は所持しているみたいだった。それだけとも思えないが、一体どこに武器を隠しているのだろう……。
「やあアクセル、調子はどうよ?」
先程と同じことをチェイニーが聞いてくる。
「心臓ばくばくだし、汗もかいてるんじゃないの?」
「ああ、まあ……多少はな。でもこんなのみんな同じだろ? 死合い前は多少なりとも緊張するものだし」
「え……」
「俺はいつも通りだ。心配は無用だよ」
そう答えたら、何故かチェイニーは怪訝な顔になった。
こちらの全身を眺めてきて、呟くようにこんなことを言ってくる。
「……おかしいな。あまり効いてないのか?」
「はっ……?」
「いや、こっちの話。気にしないで」
そう言われても、死合い前にそんなこと言われたら気になってしまうのだが……。
『ただいまより、第一回トーナメント・グループD・第三戦二組・アクセルVSチェイニーを行います』
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