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第1601話

 ――え、ちょ……なんで……? ここどこ……?  動揺し、周囲を見渡す。  そこは本当にただっ広い草原で、人の気配どころか建物もなかった。虫や鳥すらもいない。  ――なんでだよ……! チェイニーはどこに行ったんだ……?  わけがわからず、混乱しながら周辺を駆け回る。  さっきまでスタジアムの中にいたのに、いきなりこんなところに飛ばされるなんておかしい。  チェイニーがボウガンの矢を放った途端こうなったから、きっとあの矢に何かしらの仕掛けがあったんだと思う。  となれば、四隅に刺さった矢を抜くか破壊してしまえば元に戻れるのでは……? 「っ……!」  そう思って矢を探していると、不意に後頭部に殺気を感じた。  本能的に身体を捻り、殺気から逃げようとした途端、左肩に切られたような衝撃を覚えた。  チラッと見たら、案の定そこがスパッと切れて生温かい血が噴き出していた。  狂戦士モードだったから痛みは感じなかったけれど、タダで切られてしまったのは結構な痛手である。どうせ切られるのならば、接近されたついでに切り返してやりたかった。  ――でもそうか、ちょっとわかってきたぞ……。  やはり目の前の光景は幻覚だ。  実際のアクセルはちゃんとスタジアムの中にいて、チェイニーと対峙しているのだ。走り回っている自分を、チェイニーは追跡して切りつけているのだ。  ――それなら……。  アクセルは目を閉じた。  どうせ視界は役に立たない。それなら最初から何も見ない方がいい。視覚に頼らずに戦う術は身についている。  あとはチェイニーがどこにいるか、それを判別できれば……。 「……!」  再びうなじがぞわっと痺れた。  気配を感じ、振り返って右の小太刀を振るう。  キン、と小さな音がして何かが弾き飛ばされた。手応えからして金属製の矢みたいだった。  ――接近してないな、これは……。  近づくのは危険と判断したのか、遠距離攻撃に切り替えたようだ。さすがチェイニー、危ない橋は渡らないらしい。  やはり、こちらから彼を捜し出して切りつけるしかないのか……。

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