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第1604話※
真っ直ぐ振り下ろしただけだから受け止められてしまったけれど、斬りつけた時の手応えから相手が動揺しているのはわかった。
「でも……本当に申し訳ない、けど……俺は、きみの気持ちには、応えられない、んだ……。ホントに、ごめん……な……」
「……!」
「こんな俺、を……好きになっ、てくれて、ありがとう……」
相手がますます動揺したのが、小太刀を通して伝わってきた。
アクセルは右腕の筋肉を固め、もう一振りの小太刀を振り抜いた。
振り抜いた瞬間、草原だけだった空間が裂けて元のスタジアムが現れた。同時に観客の怒号も戻ってきた。
「おい何やってんだよ! つまんねー死合いしやがって!」
「もっと斬り合えよ、クソが!」
観客の目には、こちらがまともに斬り合わず逃げ回っているように見えているみたいだ。やはり観客までは幻術が届いていないらしい。ちょっと安心した。
――そろそろ決着をつけないとな……。
アクセルは目をしっかり見開き、両手の小太刀をクロスさせながら振り下ろした。
「っ……はぁっ!」
「うわっ……!」
チェイニーが力負けし、バランスを崩して身体を仰け反らせる。
すぐさま追撃したかったが、力が入らず絶好の機会を逃してしまった。
今の一撃で肺に残っていたわずかな空気が全部外に出てしまい、ますます呼吸が苦しくなる。
――ああ、くそ……力が入らない……!
普段は呼吸と共に力を込めて武器を振るうので、その呼吸が上手くできないと力も上手く込められない。
人を斬るにもそれなりの力が必要なので、今の状態ではちゃんと斬れるか自信がなかった。例え武器の切れ味を上げていたとしても、自分自身がなまくらでは意味がない。
――こうなったら……!
力は込めず、わざと空振りさせるように小太刀を振るう。
狂戦士モードの時だけ使える風の刃が飛び出し、空気を切り裂いてチェイニーに襲い掛かった。
半ばヤケクソ気味に振った刃は、チェイニーの四肢を飛ばし、胴体を抉って致命傷を与えた。
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