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第1606話(フレイン視点)
――ホントに、私の予想を超えてどんどん強くなっていく……。
嬉しさと同時に胸が高鳴るような興奮も覚え、今すぐ弟を抱き締めて頬擦りしたくなる。
もっとも、今の弟は窒息して立ったまま息絶えているけれど、復活したらいろんな意味でうんとご褒美を与えたい。
ああそうだ、勝ったら代わりのお守りみたいなのが欲しいっておねだりされていたんだっけ。それも用意しておかないと。
フレインはボックス席を離れ、遺体を運んでいる遺体回収班に声をかけた。
「弟の遺体は私が運ぶよ。きみたちはあっちの赤毛の子を運んであげなさい」
「ああ、フレイン様……ありがとうございます、助かりました」
すたこらと仕事を放棄し、チェイニーの遺体回収に向かってしまう係員たち。
死合い直後の遺体は死後硬直が早いので、カチカチに固まって上手く運べなくなってしまうのだ。物のように乱雑に扱われるのも嫌だし、弟の遺体は常に自分で運ぶに限る。
「お疲れ様、アクセル。今はゆっくり休んでね」
丁重に棺に入れ、しっかり蓋を閉めた。
肺が損傷しているだけだから、復活までさほど時間はかからないだろう。四肢をバラバラにされたチェイニーよりずっと早く起きられるはずだ。
明日の朝には復活してるよね、きっと……と思い、フレインはオーディンの館を出た。そしてそのままの足で世界樹 の前まで行った。
ゲートを通って採掘場に行こうかと思っていたら、ばったりジークに遭遇した。
「おや、ジークじゃないか。どこかに行くのかい?」
「ああ、玉鋼を採りにな。最近武器の切れ具合が気になってきたんだ」
「ホント? それは奇遇だな。じゃあ一緒に行こうよ」
「……え? お前さんも行くのか?」
「うん。私も、弟のお守りになるような特別な鉱石が欲しいんだ。変な怪物に絡まれるのも嫌だし、一緒に行った方が効率いいかと思って」
そう言ったら、ジークは諦めたように肩を落とした。
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