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第1608話(フレイン視点)
世界にひとつしかないお宝を狙いに来ているわけではないのだ。お守りになりそうな鉱石なら何でもいいんだから、いちいち邪魔しないで欲しい。
まあ、これだけ邪魔が入るということは、それだけ貴重な鉱石がたくさんあるということなんだろうけど……。
――ぶっちゃけ、どれがどれだか見ただけじゃわからないんだよね……。
鉱石は、宝石みたいにキラキラした状態で壁に埋まっているわけではない。該当する部分を掘り出し、鍛冶屋に持って行って削ったり研磨したり加工してもらったりして、それでようやく宝石のような輝きを放つのだ。
弟に渡した「女神の涙」とやらも、たまたま見つけた鉱石を武器と一緒に鍛冶屋に出したら、「こんなものが採れましたよ」と副産物として渡されたに過ぎない。それがとんでもなく貴重な素材だったなんて、言われるまで知らなかったレベルだし。
――というか、「女神の涙」が手に入った時はどこまで潜ったんだっけな……? 気付いたらものすごく深くまで潜ってた気がするけど……正確な場所は覚えてないや。
今何時だろう。そんなに時間は経っていないと思うけど、あまり深入りすると帰るのが遅くなってしまう。ピピの世話もあるし、なるべく早くイイ感じの鉱石を見つけて帰りたかった。
何かないかな……。
「……ありゃ?」
真っ二つにしたガーディアンの胴体から、何か光る結晶のようなものが転がり出てきた。ビー玉くらいの大きさで、八面体にカットされている。
――何だろうね、これ? ガーディアンの動力源かな?
だとしたら、相当な力を秘めていると考えてよい。そう簡単に手に入るものではないだろうから、鑑定してみる価値はありそうだ。
とりあえず、これは一度鍛冶屋に持って行こう……と、ポケットに入れておく。
その後もあちこち探し回ったが、目ぼしい鉱石は見つからなかった。途中、大きめの玉鋼を見つけたから一応切り取ったけど、収穫といえばそれくらいだ。
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