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第1611話
翌朝、アクセルは棺の中で意識を取り戻した。
蘇生完了の証として蓋が開いていたので、目を細めながら身体を起こした。
しばらくボーッとしながら目だけで周囲を観察していたが、自分の隣に蓋が閉まったままの棺があるのを発見した。
――そうだ、チェイニーは……?
棺係に聞いたら、チェイニーの復活まではあと数時間かかるだろうという話だった。四肢をバラバラにされて死んだのだから、当然と言えば当然か。
どうしよう……ここで待っていた方がいいんだろうか。素知らぬフリをして、さっさと帰宅してしまった方がいいんだろうか。
でも……いろいろ気になっていることもあるし、ここでチェイニーから逃げたら今後顔を合わせた時にものすごく気まずくなりそうで……。
「おや、もう目覚めていたの?」
顔を上げたら、兄がにこやかな笑顔でこちらに近寄ってくるのが見えた。わざわざ迎えに来てくれたのか。
「思ったより早かったね。欠損していたのが肺だけだったせいかな?」
「かもな」
「うん、とにかく復活おめでとう。そして死合いお疲れ様。無事に勝ててよかったね」
そのまま家に帰ろうとするので、アクセルは慌てて止めた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ兄上」
「? 何だい? どこか寄りたいの?」
「いや、その……チェイニーが復活するまで待っていた方がいいかなと……」
「ああ、そっか……」
「あ、でも決してやましい気持ちはないからな? ちょっと気になることがあるから話をしたいだけで、変な意味で言ってるわけじゃないからな?」
「わかってるって。何の言い訳してるのさ」
だって兄上、いつも復活後に違う人と話しているとヤキモチ焼いちゃうから……と言いかけたが、墓穴になりそうなので黙っておいた。
「でもチェイニーくんが復活するの、まだ数時間かかるんじゃない? それまで家でゆっくりしたら? 渡したいものもあるし」
「渡したいもの……?」
怪訝に思いながら一度家まで戻ったら、テーブルの上に二つのペンダントが置きっぱなしになっていた。ペンダントトップは透明な石になっていて、二つとも似たような形をしている。
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