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第1620話
「だったら、必要以上に気にしちゃダメだよ。お前は今までと変わらず、友人として接してあげればいいんだ。それでチェイニーくんは十分満足なんだから。わかった?」
「…………」
「お返事は?」
「……はい、兄上」
そんなものなのかなぁ……と思ったものの、アクセルがこれ以上できることは何もない。
ならば兄の言う通り、今までと同じように友人として接してあげるのがベストなのだろう。ぎこちなくないように、こちらも注意しなくては……。
「というかさ、お前そんなことでいちいち悩んじゃうんだね?」
「……わっ!」
兄がこちらの両肩を掴み、ソファーに押し倒してきた。真上から顔を覗き込み、首をかしげてくる。
「これから先、別の男に告白された時も悩んじゃうの? お人好しも結構だけど、時にはハッキリ断ってやることも必要だよ?」
「わかってるけど……なんかこう、どうしても『申し訳ない』って思っちゃうんだよ……。こんな俺を好きになってくれるだけでもありがたいのに、俺は何もお返しできないというか……」
「ふーん? まあそういうところがお前の優しさなんだろうけど、それで下手にお返ししたら『浮気』になっちゃうからね? チェイニーくんはあっさりしたタイプだったからよかったけど、『可哀想だから』って優しさを見せて、それで相手が勘違いしてつけ上がってくるパターンもあるんだからね?」
「つけ上がるって……」
「『フレイン様よりオレの方が好きなんだ』、『何でいつまでもフレイン様と一緒にいるんだ』、『ならオレが目を覚まさせてやる』……みたいな。一度思い込んで暴走すると止まらないタイプっているからさ。お兄ちゃんはそっちの方を心配してるの」
言われて、少しドキッとした。
例え話はアレだが、それっぽい展開は十分起こり得る。しつこく付き纏われでもしたら目も当てられない。
「だから本当に気を付けるんだよ? 時にはハッキリ断ってやるのも優しさだ。言いにくかったら私を理由にしていいから、とにかく他の男につけ入る隙を与えないようにね」
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