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第1636話

「一週間か……」  アロイスとの死合いがあるのは五日後だから、明日からメンテナンスを受けたら死合いには間に合わない。  ――てことは、また兄上の応援なしで戦わなきゃいけないのか……。  ちょっと寂しいけど仕方がない。アロイスとの死合いは自分一人で頑張ってこよう。  そう思っていると、兄はにこりと微笑んでこんなことを言ってきた。 「あ、でもお前の死合いはちゃんと見てからにするよ。でないと結果が気になりすぎて、メンテナンスどころじゃなくなっちゃうもの」 「は……?」 「五日くらい先延ばしにしても、いきなり変なことになっちゃうわけじゃないし。だから、お前の雄姿を見た後でメンテナンス行ってく……」 「いや、だめだ! 明日にでもメンテナンス行ってきてくれ。俺は頑張って死合い勝ってくるから、兄上は自分のことにだけ集中してくれ」  被せるように兄の言葉を遮る。 「先延ばしにして、その間に一気に魂が劣化したらどうするんだ。また獣化みたいなことになったら大変じゃないか」 「いや、そんなすぐには劣化しないって」 「わからないだろ。とにかく、早く治してきてくれ。俺は大丈夫だから……兄上の応援がなくても絶対勝つから……だから……」 「アクセル……」 「……兄上、お願いだ。取り返しのつかないことになる前に、早く……」  途中から声が震え、縋りつくような口調になっていた。  アクセルにとって、兄・フレインは冗談抜きで自分より大事な存在だ。自分が死ぬのは怖くないけど、兄を失ってしまったら自分はもう生きていけない。  魂の劣化とやらの詳しい症状はわからないが、兄の調子がよくないのなら放っておくわけにはいかない。すぐさま治療して健康な状態に戻って欲しい。  すると兄はそっとこちらの手をとり、優しく握って尋ねてきた。 「私がおかしなことになるのが心配?」 「あ、当たり前だろ! 兄上には常に絶好調でいてもらわないと……いや、常にっていうのは無理かもだけど、とにかく俺は兄上の調子が悪くなるのが一番心配なんだ」

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