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第1659話
「昨日のトーナメントの死合い結果ですが、あれはどういうことですか? 俺とアロイスどっちも失格になってるんですけど」
「……は? いきなりそんなこと言われても、何の話だかわかりませんよ」
「まったく……これだから教養のない戦士(エインヘリヤル)は困ります」
「我々にものを尋ねる時は、まず名を名乗るのが先でしょう。そんな礼儀も知らないんですか?」
三人のヴァルキリーに口々に責められ、さすがに少しイラッとした。
名を名乗るべきなのは確かにその通りだが、そんな嫌味な言い方をしなくてもいいではないか……。
「……失礼しました。俺はアクセル、こっちはアロイスです。昨日の死合い結果について、納得できないところがあったので異議申し立てに来ました」
仕方なく丁寧に言い直したら、ヴァルキリーは面倒臭そうに眉を顰めた。
「納得できないところとは? 結果はトーナメント表に書いてある通りです。あなた達が口を挟む余地はありませんよ」
「でも俺たちの死合いは引き分けだったはずです。引き分けなら引き分けらしく、何か他の方法で勝敗を決めるのが筋だと思います。それなのに、二人まとめて失格になるのは明らかにおかしいのでは?」
「引き分け……失格……?」
どうもピンと来ていないヴァルキリー。怪訝な顔のまま顎に手を当てているので、アクセルは徐々に嫌な予感がしてきた。
――まさか、昨日の死合いを覚えていないのか? それとも情報共有ができていないのか? これじゃ、受付にクレームを入れても意味がないんじゃ……。
内心冷や汗をかいていると、隣にいた別のヴァルキリーが思い出したように言った。
「ああ、もしかしてアレじゃないですか? 昨日、十三番目のお姉さまがアナウンスしていた……」
「あら、あの死合いですか。そんなの、すっかり忘れておりました」
「毎日いくつもの死合いをアナウンスしてますからねぇ。仕方ありませんわ」
思い出したのはいいものの、三人で勝手にフォローし合っている始末。
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