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第1660話
他人事のような言い草に、ますますイラッとした。
こっちは命懸けで死合いを行っているのに、何だその態度は。こいつら、真面目にヴァルハラを管理する気があるのか?
「ああああ! ったく! さっきから黙って聞いてりゃナメやがってよ!」
アロイスが髪を掻きむしって苛立ちを表現してくる。
「てか何なんだよ、そのふざけた言い方は! お前ら、オレ達がどんな気持ちで戦ってるかわかってんのか!? 昨日の今日で死合い内容忘れるとか、あり得ねぇだろ!」
「何ですか、その態度は。戦士 のくせに我々を怒鳴りつけるなんて、生意気ですね」
「戦士 は黙って我々に従っていればいいんです。所詮管理される側なのですから」
「というか、そんなことを言いに来たのなら、とっととお帰り願えるかしら? 私たちは他にもやることがいっぱいあるんです」
そんなことを言われ、とうとうアロイスがブチ切れた。
「てめぇら、全員表出ろやゴルアァァ!」
「ちょ……おいアロイス、やめとけって!」
慌てて羽交い絞めにしてアロイスを押さえる。
身長はアクセルより低いが相変わらずの馬鹿力で、押さえるだけでもかなりの腕力が必要だった。気を抜いたら当たり前に吹っ飛ばされてしまいそうだ。
「止めるなよアクセル! お前だって悔しいだろ!? オレ達の命懸けの死合いをこんな風に馬鹿にされて!」
「そりゃあ悔しいよ! 悔しいけど! こんなところで暴れても俺たちの不利になるだけだろ!」
「何で不利になるんだよ! オレ達、何も悪いことしてねぇだろうが!」
アロイスの言うことももっともである。
後ろ暗いことは何もしていない――というか、おかしいことを指摘しに来ただけなのに、それが自分たちの不利に繋がるのはどう考えても理不尽だ。
向こうが同じ戦士だったら、当たり前のように叩きのめして自分たちの意見を通していたように思う。
ただ、今回の相手はヴァルキリーだ。管理に問題があるとはいえ、気安く喧嘩を売っていい相手ではない。逆ギレされた挙句、何かしらのペナルティーが科せられる可能性は否定できない。
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