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第1662話

「あなた達、昨日死合いを行った戦士(エインヘリヤル)なのですね。まずはお疲れ様でした」 「あ……はあ、どうも」 「それで、失格を取り消せというのはどういうことでしょう?」 「それはその、俺たち引き分けだったのに問答無用でトーナメント失格になってしまったので、どういうことか聞きに来たんです。『引き分けは失格』なんてルール、事前に聞かされていませんし」 「あら、引き分けの死合いが『失格』になっていたのですか?」 「そうです。トーナメントである以上、どちらか片方でも上に進めないといけないので、サドンデスマッチか何かをやるべきだと思って、意見しに来ました」 「あらまぁ」  シグルーンは目を丸くして、こちらとヴァルキリーたちを交互に見た。  流れが悪くなったことを察したのか、受付嬢たちは口々に言い訳を始めた。 「違いますわ、お姉さま。この人たちが勝手に文句を言って、勝手に受付で暴れ始めただけです」 「というか、問題だと言われているのは昨日の死合いなんですよ? 今日だったらいざ知らず、そんな昔の死合いを掘り起こされても困りますよ」 「そうですよ。毎日たくさんの死合いが行われているのに、過去の死合いをひとつひとつ審議しなければならなくなったら、時間がいくらあっても足りません。ただでさえ我々は忙しいのに」  三人がかりで、ああだこうだとまくし立てる。  あまりに勝手な言い分に、アクセルは一生懸命こめかみを押さえた。  ――ああもう……! こいつら、本当に俺たちを何だと思ってるんだ……!  こんなことなら、アロイスを止めずに一緒に暴れた方がよかったかもしれない。なるべく穏便に済ませたかったけど、まるで取り付く島がないではないか。  というか、ヴァルキリーはみんなこんな感じのヤツばかりなのか? そんなにヴァルハラの管理が面倒だというなら、管理権をトップランカーに渡してしまえばいいではないか。  それすら渋るなら、せめて管理くらいはキッチリしてくれよ……。

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