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第1664話

 ――多分、今まで出されたクレームも受付で揉み消されていたんだろうな……。  道理で管理がイマイチのまま変わらないはずだ。  お前ら(エインヘリヤル)の意見など知ったことか、つべこべ言わず、大人しく管理されていればいいんだ……という、ヴァルキリーたちの傲慢な態度が透けて見える。特に下っ端のヴァルキリーほどその傾向が強いようだ。  まあ、これは今に始まったことではないし、下の者ほど更に下の者にマウントを取りたがる……というのは、どこの世界にもよくある話だが。 「……なあ、オレたち本当にもう帰っていいのか?」  曖昧な顔をしつつ、アロイスが尋ねてくる。 「てかさっきの姉ちゃん、検討するとか言ってたけど本当に検討してくれるんかね? 言うだけ言って、放置ってことはねぇのかな」 「さ、さあ……? それは何とも言えないけど……」  全面的に信用していいかはわからないが、少なくともシグルーンは、言ったことは守るタイプのような気がする。やり方はともかく、検討はしてくれるだろう……多分。 「もうっ! あなた達が余計なクレームをつけてくるから、私たちまで叱られてしまったではありませんか!」  すると今まで大人しくしていたヴァルキリーたちが、急にこちらに難癖をつけ始めた。 「そうですよ! たかが一回の死合い結果なんてどうでもいいでしょう! それなのに、わざわざこんなところまで文句を言いにきて!」 「ああもう……これでシグルーンお姉さまから目をつけられてしまいました……! どうしてくれるんですか!」 「私たちがこのまま出世できなかったら、あなた達のせいですからねっ!」  口々に喚いている受付嬢たち。  何かやかましい雛鳥がピーピー鳴いているようにしか見えず、アクセルは呆れた視線を彼女たちに向けた。 「……あなた達が出世しようがしまいが、正直俺たちはどうでもいいんで。あなた達が俺たちの死合いに興味がないように、俺たちもあなた達の出世には一切興味ないです。目をつけられようがお仕置きされようが、関係ないんですよね」 「んなっ……!」

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