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第1665話

「それじゃ、失礼します」  なおもギャーギャー騒いでいるヴァルキリーたちを放置し、アクセルとアロイスはヴァルハラに戻るべく世界樹(ユグドラシル)の道を通った。 「あーあ、なんかちょっと消化不良だな。わけわかんねぇことで騒がれたことも気に食わねぇし……やっぱ暴れてくればよかったぜ」 「うん、まあ気持ちはわかる。そういう時は、帰って思いっきり身体を動かしてストレス発散するしかないよ」 「それにしてもあのシグルーンとかいう姉ちゃん、かなり強そうだったよな! いつか本気で戦ってみたいぜー!」 「確かに……。兄上とどっちが強いかな……」  そんなことを話しながら、ヴァルハラのゲートまで辿り着く。  世界樹(ユグドラシル)の前で例のトーナメント表を確認してみたが、さすがにまだ「失格」は取り消されていなかった。そりゃそうだ。  とりあえずそこでアロイスと別れ、自分も家に帰ろうかなと思った時、 「あああ……こんなところにいた……! やっと見つけたよ……」  兄が血相を変えて走り寄って来た。  数日ぶりに見た兄の顔に、アクセルはパッと気分が明るくなった。 「兄上、よかった。元気そうだな」 「ああ、私は元気……ってそうじゃなくて。お前どこ行ってたのさ? そろそろ復活しただろうと思って迎えに行ったらいなくなってるし……。全然見つからないから心配しちゃったじゃないか」 「あ、ごめん……。ヴァルキリーのところにクレームを入れに行ってたんだ」 「クレームって……もしかして、引き分けだったのに両方失格になってた件かな」 「ああ。ルールに明記されてたならともかく、何も言わずにしれっと失格にするのはおかしいだろ。今までの頑張りが水の泡だ。だから文句を言いに行った」 「お前ねぇ……それならそうと言ってちょうだいよ。そしたら私もついて行ったのに」 「すまない……。でもこれは自分の死合いでの出来事だから、自分で処理するのが普通かなと思って」  そう言ったら、兄はやれやれと肩を落とした。そしてこんなことを言ってきた。

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