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第1669話

 アクセルがシャイなことを知っているくせに、この兄はわざと直接的なことを言わせてこちらを辱めてくるのだ。  しかもアクセルが拒んだら「じゃあいらないんだね」などと言って、そのまま放置に入る。こちらが泣いて折れるまで許してくれないことも多い。  普段は優しくて弟想いなのに、どうしてこういう場面になると意地悪ばかりしてくるのだろう。意味がわからない。 「やっぱりこういうことをするからには、意思表示が大事だと思うんだ」  と、兄が上から微笑んでくる。 「私はお前のことめちゃくちゃにしたいけど、お前も同じ気持ちじゃないと意味がない。一方通行のままじゃご褒美じゃなくて、お仕置きになっちゃうもんね。……ま、お前の場合はお仕置きでもいい反応してくれるけどさ」 「っ……!?」 「でも、今日はあくまでご褒美のスタンスでいきたいんだ。めちゃくちゃにしながらもデロデロに甘やかして、気持ちよくしてあげたいんだ」 「う……」 「ほら、どうして欲しい? お前の口で直接言ってごらん」  挑発するように唇を撫でられ、ぞくっと背筋に痺れが走った。  たったそれだけのことなのに、その場の雰囲気とこの後の展開を予想して、身体が勝手に火照り始めてしまう。腹の奥が疼き、兄が欲しくてたまらなくなってくる。  そう言えば、ここしばらく兄と身体を合わせてなかったし……。 「ご……」  こくり、と小さく喉を鳴らし、アクセルは何とか声を絞り出した。 「ご、褒美……くださ、い……」 「うん、ちゃんと言えたね。いい子いい子」  優しく髪を撫でられ、きゅうんと胸が高鳴ってしまった。  何だかんだ言っても、自分は兄のことが大好きなんだな……と思っていると、 「それじゃ両腕を背中に回して、こっちに出して。これ着けるからね」  兄が楽しそうに、とある手錠を見せつけてきた。着けた跡が残らないようにするためか、手錠の内側にふわふわのファーがついている。  一体どこでそんなものを手に入れたんだ? というか、ご褒美なのに拘束プレイをするのはおかしくないか?

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