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第1682話
その後は庭でいつも通り鍛錬を行ったけれど、兄への違和感は拭えなかった。
――あの様子、絶対何か心当たりがあるんだよな。ごまかされたからそれ以上聞けなかったけど……。
どうせ対戦相手のことは事前に調べるのだ。この際だから兄との接点も調べてやろう。
本当に何もないならそれでいいけど、万が一変な関係だったら、こちらとしても気が気じゃないし。
そんなことを考えていたら、チェイニーが朝の郵便物を持ってやってきた。
「おはよう、アクセル。これ今日の手紙と新聞ね。なんかトーナメントでいろいろあったみたいじゃん。ブロックが別のところに移動になってたけどさ」
「そうなんだよ。相打ちだったのに何故かどっちも失格になってて、それをヴァルキリーに直接抗議に行ったら、ブロック移動で続行ってことになった」
「へぇ……? ヴァルキリーが言うこと聞いてくれるのは珍しいね。大抵のクレームは窓口で握りつぶされちゃうのにな」
「たまたま上位っぽいヴァルキリーが出てきたから、運がよかったのかもな」
苦笑しつつ郵便物を受け取り、アクセルは話題を変えた。
「ところでチェイニー、ナダルって人知ってるか?」
「ナダル? ああ……一応知ってはいるかな。ただ、あまりいい噂は聞かないね」
「……悪人なのか?」
「何を悪人とするかは人それぞれだろうけどさ……。でもナダルとかいう人もそこそこ歴史が長い戦士 だからなぁ……何ならランゴバルト様の次くらいのベテランかも」
「そんなに……? てことは兄上よりずっと先輩なのか……」
「そういうことになるね。まあ昔のヴァルハラはほぼ無法地帯だったから、今では考えられないようなことも普通にあったんでしょ」
「考えられないことって……?」
「それは自分で調べた方がいいんじゃないかな。誰かから伝聞されると余計な尾ひれがついて、正確な情報が得られなくなるんでね」
「…………」
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