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第1683話
「どうせ死合いの前に相手のこと調べるんでしょ? だったら自分の目で『ナダル』がどんな奴か、確かめて来なよ。オレの口からはあまり詳しいこと言えないからさ」
「そうか……」
何やら嫌な予感がする。チェイニーの口調からして、絶対いい意味ではないだろう。
兄とナダルの間に何かあったのは間違いなさそうだが、それを詳しく調べるのは少し勇気がいる。
もし……もし、元カレみたいな怪しい関係だったらどうしよう。そんなことが発覚したら、こちらが喚き散らしてしまいそうだ。
いや、そもそも兄は「ナダルなんて知らない」とごまかしていた。それはつまり、遠回しに「ナダルとのことには触れないで欲しい」と言っているのではないか。知られたくない過去があるから、それ以上話をしたくなかったのではないか。
それを自分が興味本位で掘り返していいのだろうか。ものすごく気になるけど、詳しく調べるのはやめておいた方がいいんじゃないだろうか……。
かなり悩んでいたら、チェイニーが釘を差すように言った。
「ま、昔の出来事をあまり深掘りするのもよくないけどね? 今現在に影響があるわけじゃないなら、さっさと忘れて流さないとさ。死合いどころのメンタルじゃなくなるよ?」
「そ、そうだよな……」
「アクセルは意外といろんなこと気にしちゃうタイプだから、余計な情報は入れない方がいい。調べるのは戦い方や武器だけにして、その他のことはスルーをおすすめするよ。せっかくここまで勝ち上がったのに、メンタルやられて不戦敗なんて残念すぎるもんね」
「……わかった。肝に銘じておくよ。アドバイスありがとう」
アクセルは微笑みながらチェイニーに礼を言った。
やはり情報通のチェイニーに言われると、説得力がある。知らぬが仏という言葉もあるし、知らないでいた方が幸せなことあるのだろう。少なくとも、今は。
「それにしても、いつもごめんな。都合のいい時に情報引き出してるみたいになっちゃって」
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