1685 / 2296
第1685話
気を取り直し、アクセルはナダルについて調べることにした。あまり変な情報を入れたくなかったので、人に聞いて回るのではなく自分で直接ナダルに会ってみようと思った。
まずは鍛錬場に向かい、それらしい人を捜してみる。
ナダルの特徴を聞いていなかったので、そこだけは人から聞いて教わることにした。
「ああ……ナダルさんね。見ればすぐにわかるよ。顔に変なタトゥーが入ってて、頭にも縄みたいな髪がくっついてるから」
つまり、タトゥーの入ったドレッドヘアーの男を捜せばいいということだ。それなら目立つのですぐに見つかるはず。
鍛錬場にはそれらしい人がいなかったので、他の施設を回ってみた。
スタジアム、世界樹 の前、オーディンの泉、オーディンの館、図書館、市場……等々、思い当たるところには全部足を運んでみる。
だがタトゥーの入ったドレッドヘアーの男性は見つからなかった。
――ええ……? これだけ捜しても見つからないってどういうことだ……? 山にピクニックでも行ってるのか?
さすがに山までは捜しに行けない。大人しく帰ってくるのを待つしかなさそうだが、彼は一体いつ帰ってくるのだろう。というか、彼の家はどこなんだろう。
どうせ待つのなら、彼の家近くで待っていた方が効率がいいような……いや、それはそれで不審者だと思われそうだしな……。
いろんな懸念点をぐるぐる考えていたら、いつの間にか娼館の前まで来ていた。ボーッと歩いていたので、娼館前の客引きに声をかけられるまで気付かなかった。
「お兄さん、いい顔してるね。ちょっとうちで遊んでいかない?」
「えっ……!? い、いや、俺は……」
「それとも職務希望? お兄さん、かっこいいからうちで働けばすぐにお客さんとれるようになるよ」
「っ!? いやあの、俺、ただ通りかかっただけなんで……そういうつもりは一切ないんで……」
しどろもどろになりつつ急いで逃げようとしていると、出入口から一人の男が出てきた。目尻の辺りにワンポイントのタトゥーが入った、ドレッドヘアーの男だ。
ともだちにシェアしよう!

