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第1697話(アクセル~フレイン視点)
――というかあの連中、結局何だったんだろう……。やっぱりナダルさんの仲間だったのかな……。
ハッキリしたことはわからない。でも仮にナダルの差し金だったとしたら、何が目的だったのかよくわからない。
娼館でたっぷり可愛がってやろう……なんて言っていたけれど、もし本気でアクセルを襲いたかったのなら、もっと場所とタイミングを選ぶべきだったのではと思う。
家の近くまで来てしまったら「兄・フレインに気付かれる」リスクが跳ね上がってしまうし、現に連れ去ろうとしたところで気付かれ、襲撃途中で逃げる羽目になった。それなら市場を出てすぐに殴りかかる方がよかったし、何故もっと隙のあるところを狙わなかったのか疑問が残る。
そもそも、だ。
たまたまアクセルの具合が悪かったから上手くいきかけたものの、仮に絶好調だったら、あいつら全員返り討ちだったんじゃないかと思う。確かにいつもの武器は持っていなかったけれど、こっちだって何もできないほど弱くはないつもりだ。徒手空拳で殴りかかるくらい、できたはず。
そう考えると、ますます彼らが何をしたかったのかわからなくなってきた。
ただ単に考えが足りなくて、後先考えず襲ってきただけか? 娼館で可愛がる云々も、本当に俺をマワしたかっただけなのか?
そんなことしたところで、あまり意味はないと思うんだけどな……。
――まあ、あいつらの思考なんて理解できたらおしまいか……。
後頭部がズキンと痛んだので、アクセルは考えるのをやめた。
今回は疲れが溜まっていただけだ。次はこうはいかない。死合い本番で、兄の分も全部まとめてお返ししてやる……。
そう決意して目を閉じていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。兄がおかゆを持ってきてくれたことにも気づかなかった。
***
「……アクセル?」
完成したおかゆを持って寝室に行ったが、全く返事がなかった。
近づいて顔を覗き込んだら、案の定弟は静かな寝息を立てて熟睡していた。相変わらず寝顔は天使のように可愛い。大人になっても、それは変わらない。
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