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第1701話
重い溜息をついたところで、ベランダから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おーい、アクセルいるかー?」
おや、と思ってベランダの窓を開けると、アロイスが空の大鍋を持ってそこに立っていた。
「よー、アクセル。お前、トーナメントのブロック移動になったんだってな? お互い勝ち上がれてよかったなー!」
「ああ、失格にならなくてよかった。ところで、その大鍋は……?」
「いやー、また豆のスープ食べたくなったから持ってきた。これいっぱいによろしく頼むぜ。あ、お礼の木材はそこに積んであるからな」
うさぎ小屋の横には、まだカットされていない丸太が大量に積み重なっている。
ピピの好きな硬い木材も持ってきてくれたらしく、アクセルが選別する前に大喜びで齧っていた。
「にしても、今日は朝から娼館の方が騒がしかったな。下位ランカーがひっきりなしに遺体運びで往復しててさ。何事かと思っちまったぜ」
「えっ……?」
急にそんなことを言われたので、アクセルはハッと顔を上げた。
アロイスは腰に手を当て、したり顔で言った。
「何だ、知らないのか? 何でも昨日の深夜、娼館に武器持ったヤツが闖入したらしくて、そこにいたヤツは全滅しちまったんだと」
「せ、全滅……!?」
「ああ。娼館って基本的に武器持って入れないだろ? そんなところで刃傷沙汰って、なかなかの事件だなと。まあ刃傷沙汰自体はヴァルハラではよくあることだけどさ」
「…………」
「何を思ってそんなことやったのか知らんけど、相変わらずフレイン様は苛烈なことをするよなぁ」
「っ……!?」
不意に兄の名前が飛び出してきて、一瞬呼吸が止まった。
指先から血の気が引いていき、嫌なめまいで頭がくらくらしてくる。
「みんなビビって口割らないけど、一晩で娼館を全滅させられる上位ランカーで、そんなことしでかすのフレイン様くらいしかいないもんな。アクセルと一緒に暮らしてからはかなり丸くなったみたいだけど、やっぱ本質は変わんねぇってことかー。なんつーか、ちょっと懐かしくなったわ」
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