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第1716話

「フレイン、アクセルのせわ、すき」 「え?」 「フレイン、アクセル、まもる。そのために、つよくなる」 「ああ、うん……兄上は昔からそうだったな。だから俺は、そんな兄上に憧れて、自分も強くなりたいと思って……」  するとピピは小さく首をかしげた。そして続けた。 「アクセル、つよくなった。でもフレイン、アクセルまもりたい。アクセルつよいと、フレイン、よわくなる」 「えっ……? いや、そんなことないと思うぞ? 兄上だって、ゴロゴロしているように見えて毎日鍛錬してるし……」 「フレイン、たんれんするの、アクセルのため。アクセル、つよくなったら、フレイン、たんれんしない」 「それは……」  さすがに鍛錬しないというのは極端だろうが、ピピの言うことも一理ある。  おそらく兄の根底には未だに「弟を守るのが自分の使命」という意識があり、それが自分自身のアイデンティティーにもなっているのだろう。  だからアクセルが強くなりすぎて自分の手から離れてしまうのは困るし、弟を守るための行動を誰かに止められたくないのだ。  でもアクセルは、早く兄に追い付きたくて鍛錬を頑張ってしまう。いつも兄の手を煩わせるのは申し訳ないと思ってしまう。  その辺りのズレが毎回喧嘩(というかすれ違い)のタネになっていて、お互い譲れない部分を主張し合う羽目になるのだろう。  ――だとしたら、これからもずっと、こんな感じの喧嘩を繰り返すことになるのかな……。  それはそれでげっそりする。ちょうどいい落としどころがないから、いつもうやむやの状態で仲直りになってしまう。それでまた同じ喧嘩を繰り返す。  どうにかならないものだろうか……。 「でも、アクセルもフレイン、まもってる。フレインのぼうそう、アクセル、とめてる」 「え……」  再びピピが口を開いたので、アクセルは顔を上げた。 「ああ、まあ……そりゃあ、弟として当然だからな。兄上が困っている時は、できる限り力になりたいんだ。……まあ、俺ができることなんてたかが知れてるけど」

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