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第1722話
――あの剣にも気を付けないとな……。
あの手の剣は切れ味が鋭い。掠っただけでも深い傷になりそうだ。
なるべく早めに狂戦士モードになって決着をつけよう……などと考えつつ、ナダルと対峙する。
「よう、娼館前で会った以来だな」
「……はあ、そうですね」
「しかし、お前の兄貴にはいろいろやらかされたぜ。まさかオレらの溜まり場ごと全滅させられるとは思わなかった。せっかくいい気分で遊んでたのに、よくもやってくれたな」
「それはすみませんね」
アクセルは冷たく返事をした。
関係ないヤツまで手にかけるのはちょっと……と思っていたけれど、ナダルの態度を見ていると全滅させて正解だったような気がしてくる。
ナダルは続けた。
「そんなスカした態度でいられるのも今のうちだぜ。今日は兄貴の落とし前をたっぷりつけさせてもらうからな、覚悟しとけよ」
「落とし前って……元はと言えば、あなた達が俺を襲撃したのが原因なのでは? それがなければ兄だって、娼館を全滅させることはなかったと思いますけど」
「ああ? 襲撃なんてたいした被害じゃねぇだろうが。連れ込まれてマワされたわけでもねぇんだからよ」
「…………」
「まだ何もされてねぇのにいきなり娼館全滅とか、オレたちに対する宣戦布告だ。売られた喧嘩はキッチリ買って、十倍にして返してやらねぇとなぁ?」
「……はあ、そうですか」
アクセルからすれば逆恨みもいいところだが、この雰囲気だとあまり話も通じなさそうだ。同じオーディンの眷属 なのに、ここまで民度の低い人がいるのかと思うと、こちらが恥ずかしくなってくる。
『ただいまより、アクセルVSナダルの死合いを執り行います……』
天からヴァルキリーの声が降ってきた。
アクセルは指定の位置に着き、そこで構えの姿勢をとった。
ナダルも同じく剣の柄に手をかけたが、未だにこちらを舐めているのか、余裕綽々の笑みでこんなことを言ってきた。
「ちなみにお前、負けたらオレらのアジトで慰み者の刑だからな」
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