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第1725話

「ガハハハ! あっという間に効いてきたな!」 「……!?」 「どうよ、身体が熱くなってきたろ? 強力な催淫剤をたっぷり塗りこめてやったからなぁ?」  ナダルが左手の錐を見せつけてくる。  ぎょっとして目を見開いた途端、ぞわわっと背筋が寒くなってきた。  ――まさかアレに薬が……!?  ナダル曰くの催淫剤。下品な言い方をするなら媚薬だろう。  確かにこの症状は、兄に焦らされまくった時の感覚によく似ている。全身が快感に飢え、硬いものが欲しくなり、無意識に腰を揺らして誘ってしまう、あの感覚だ。  現にアクセルの下腹部は熱を持って疼いており、前の方が微妙にキツくなっているのが感じ取れた。 「これを盛られたヤツは、どんなにお堅い野郎でも自分から脚を開くんだ。傷口から直接吸収しちまえば、効果もより強く出るだろうな」  ニヤニヤ笑っているナダル。 「もうだいぶキツくなってんだろ? さっさと諦めて楽になっちまえよ。敗北を認めたら、オレたちがたっぷり可愛がってやるからよ。きっと病みつきになるぜぇ?」 「…………」  薬は効いている――が、ナダルの下品な台詞を聞いていたら逆に冷静になってきた。  ――この人、結局は誰かとヤることしか考えてないんだな……。  くだらない。実にくだらない。ナダルにとって死合いとは、次のターゲットを狩る場でしかないのだ。卑怯な手で死合い中に薬を盛り、精神的に屈服させて娼館へ連れ帰る。そして飽きるまで犯しまくる……。  しかし、そんなことをして一体何が楽しいのだろう。何の意味があるのだろう。戦って自分の実力を発揮し、最期の最期まで命を燃やすのが戦士(エインヘリヤル)の本分ではないのか。ナダルのやっていることは、死合いを利用したただのゲス行為だ。  そして、せっかくヴァルハラに招かれたにも関わらず、そんなくだらないことに時間を費やしている彼自身にも腹が立った。 「……ふざけるな」 「は?」 「俺はこんな薬には屈しない。あんたの思い通りにはならない」 「な……」

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