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第1737話
そう思ったら、どうしようもなく胸が痛くなってきて、涙が止まらなくなってしまった。
今更どうにもできないことだと理解はしているものの、感情ではなかなか納得できなかったのだ。
「兄上……うっ……ぐす……」
「ああもう、泣かないの。お前がやらかすのなんていつものことでしょ。頭を冷やす期間は必要かもだけど、そんなの一時的なことだから。私はいつもお前の側にいるよ」
「わかってる……わかってるんだ、それは……。そうじゃなくて……」
「? じゃあ何をそんなに泣いてるの?」
「……わからない……。ただ、俺は兄上のこと、好きだから……兄上を苦しませることや、悲しませるようなことは、なるべく起こって欲しくなくて……。でも……どんなに気を付けていても、俺の知らないところでそういうことが起きてたりして……それが、どうしようもなく辛くて……」
「…………」
兄はしばらく無言でこちらを見下ろしていた。
やがて小さく首をかしげると、ものすごく単純に要約した言葉を口にした。
「なんだかよくわからないけど、とりあえずお前は私のこと大好きってことでいい?」
「え……」
「何でもそうだけど、過ぎてしまったことはもうしょうがないよ。私だって、お前が危ない目に遭う前に何とかできたら……って思ったことはたくさんある。地上でお前と死に別れた後も、何度助けに行きたいって思ったかわからない」
「兄上……」
「でも、そんなことずっと気にしててもしょうがないからね。自力で何とかできない事象に関しては、すっぱり諦めて受け入れる。それよか、これから同じような間違いをしないよう気を付ける。……ま、それでも間違っちゃうことはあるけども」
兄がこちらの目尻に優しくキスしてきた。そして目元を指先で拭いつつ、微笑みながら続ける。
「お前は私より繊細だから、昔のことをずっと引きずっちゃう。だけど、時には吹っ切らなきゃいけないこともあるんだよ。私のようになれとは言わないけど、ケリがついたことは頭の横に置いといて、お前はお前のことに集中しなさい」
「…………」
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