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第1804話
「だが、本人が望んでいるのなら話は別か。死ぬ時の手向けとして、本気の私を見せてやるのも悪くない」
次いで、地面に刺しておいた薙刀を引き抜き、ぐるりと回転させて構えた。
「では、しばし全力でいかせてもらうぞ」
次の瞬間、再びケイジが消えた。
息をする間もなくすぐ背後からザザッと地面を割り、ケイジが薙刀を構えて突進してくる。
「っ!?」
ほとんど脊髄反射で避けたが、完全には避けきれず右の二の腕が深く抉れた。もう少し右にズレていたら、腕そのものが吹っ飛ばされていた。
「ぐっ……!」
痛みに怯んでいる間もなく、再びケイジが突っ込んでくる。
動きそのものは直線的だったが、ここまで速いと直線でも関係なく、アクセルはほとんど勘だけで攻撃を避ける羽目になった。目視はとてもじゃないができなかった。
――あんな筋肉の塊みたいな体格なのに、何でこんなに速いんだよ……!
アクセルだって、足の速さにはそこそこ自信がある。短距離走に関しては兄より速いかもしれない。
だけどケイジの動きは、それより遥かに速かった。ランゴバルトのような重戦士タイプなら動きもそれなりだと思っていたのに、さすがの速さである。
――ここまで来たら、イチかバチか……!
通常モードではついて行けない。
覚醒することのデメリットはあるが、どうせ数分後には死ぬのだから捨て身の覚悟でぶつかりたい。
「……タアァァァッ!」
気合いを入れて、アクセルは狂戦士モードに入った。
斬られた痛みはなくなり、身体が軽くなり、胴体視力も向上してケイジの動きが目で追えるようになる。
「ハアァッ!」
衝撃波を無視し、アクセルもケイジに向かって小太刀を振り下ろした。
狂戦士ならではの風の刃はケイジの衝撃波をある程度掻き消したが、ケイジ自身の勢いには勝てず、いくらか直接衝撃波を受けた。
その度にずん……と妙な重さを感じ、喉から血の味が這い上がってくる。痛みは感じないものの、ダメージは確実に蓄積しているようだ。
――次で最期だな……。
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