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第1805話※
動きを止めることなく、アクセルは再び小太刀を構えた。
ケイジも変わらず、真っ直ぐに薙刀を構えて突っ込んできた。
この単調かつ見極めやすい動きは、上位ランカーにしては珍しい。ケイジだったらもう少し複雑な動きができそうなものなのに、どうしてそうしないのか。
――いや、これはきっとケイジ様のこだわりだ……。
ケイジはよくも悪くも高潔だ。曲がったことをしない性格だからこそ、動きも変則的にならないのだ。「真っ直ぐ戦いたい」という強いこだわりがあるからこそ、そう簡単について来られないよう極限まで動きが速くなったのだ。
だとしたら、次に相手が攻撃してくる場所も何となく予測できるはず……。
「タアアァァッ!」
アクセルはケイジが現れた場所に向かって、自らも突進していった。
素振りしながら風の刃を飛ばし、最後に大きく振りかぶってケイジの頭上に振り下ろす。
さすがに頭は割れなかったが、薙刀を持っていた左腕を肘ごと落とすのに成功した。
――やった……! やっと一撃らしい一撃を……。
そう思った次の瞬間、喉元から大量の血液がせり上がって来た。
「ぐっ……!」
堪え切れなくなり、アクセルは一気に吐血した。
ケイジを斬ったのと同時に、自分も腹部に直接打撃を受けていたみたいだ。自分の下腹部に、ケイジの右腕が突き刺さっているのが見えた。
カウンターで繰り出されたケイジの拳は、アクセルの腹部を内臓ごと貫いていた。
「か、は……っ」
立っていられず、アクセルはどさっとその場に倒れ込んだ。
ダメージを堪え切れず、狂戦士モードも解除されてしまう。
「っ、っ……」
痛みとも吐き気とも言えない感覚がアクセルを襲った。
血は止まらないし、全身に力が入らない。命のエネルギーが急速に減っていく。
――すまない、兄上……。今の俺じゃ力不足だった……。
でも、やっぱり優勝したかった。ギリギリの死合いを何度も勝利して、ブロック移動というトラブルにも見舞われながらようやく決勝戦までこぎ着けたのだから、ちゃんと優勝して終わりたかった。
兄への挑戦権を獲得したかった……。
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