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第1810話(フレイン視点)
翌日。フレインは一人寝室で目を覚ました。
起き抜けの顔を洗い、爆発している髪をセットし直し、適当に朝食を作ってササッと片付け、普段の格好に着替えた。そして戸締りをして家を出た。
昨日は夕方まで図書館で調べ物をしていたけれど、結局ハッキリしたことはわからなかった。
首を飛ばされてからも動いていた戦士は複数人いたみたいだが(そういう記録が残っていた)、それは単なる脊髄反射ではないかという結論に落ち着いた。
「もしかしたら弟くん、何かに身体を乗っ取られてたのかもな」
「乗っ取られたって……それ、ものすごく不快なんだけど。誰が何の目的で身体を乗っ取ったっていうのさ」
「俺に怒るなよ。ただ、そういう魔法みたいなことが原因なら、俺たちがいくら調べても結果は変わらんだろ。ここは『困った時の神頼み』をした方がいいと思うぜ」
そんなことをジークが言っていたので、次はバルドルのところを訪ねてみようと思ったのだ。バルドルだったらそういった事象にもある程度知識があるだろうし、運がよければ解決策を授けてくれるかもしれない。
ひとまず弟の棺を確認してから……と、フレインは速足でオーディンの館に向かった。
アクセルが入っている棺を探そうとしたのだが、周りを見回しても該当する棺は見当たらなかった。
――おかしいな……? この辺に入れたはずなんだけど……。
記憶違いで棺の場所を間違えたのだろうか。
フレインは近くにいた棺当番に尋ねた。
「ねえ、うちの弟――アクセルが入ってた棺ってどこ行ったか知らない?」
「えっ!? フ、フレイン様……いや、その……」
「……何? 棺を移動させたなら怒らないから場所教えてよ」
「えー……あー……いや、その……移動させたというか、何というか……」
「早く言いなさい。今から棺に入りたくはないだろう?」
カチッと太刀の鍔だけ見せてやると、彼は慌てたように喋り始めた。
「す、すみません! 実はその……夕べ複数のヴァルキリーがここを訪ねて来て、アクセルさんが入っている棺を持って行っちゃいまして」
「……は……?」
思いがけない回答に、一瞬頭が真っ白になった。
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