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第1817話
――魂が定着するまで……って、どういうことだ? 俺の身体は一体どうなって……。
目の前では兄が戦っている。殺気を剥き出しにして、「弟を返せ」と叫んでいる。
シグルーンとの鍔迫り合いはほぼ互角で、どちらが勝ってもおかしくない状況だった。
――兄上……!
後ろ髪を引かれる思いだったが、アクセルは更に館の奥に進んだ。兄が負けるなんて考えたくないが、いざという時はミューが加勢してくれるだろう。
それよりも、今は自分の身体の方が気掛かりだ。
――もし最高傑作とやらの魂が俺の身体に定着してしまったら、俺は身体に戻れなくなってしまう……!
今でさえも、自分の身体から追い出されてあちこち彷徨っている状態なのだ。すぐ近くにいるのに兄に気付いてもらえないし、声も聞こえなければ触れることもできない。
そんなことになったら、自分は死んだも同然ではないか……!
――こっちか?
ヴァルキリーたちが慌ただしく地下に降りていくのを見つけ、アクセルも急いで追いかけた。
地下にはかなり広々とした空間が広がっており、そこで数名のヴァルキリーがせかせかと動き回っている。
下っ端と思しきヴァルキリーが書類や筆記具、薬品等を持って忙しそうにしている中、中央にいる二人のヴァルキリーは透明な棺を見ながら話し込んでいた。
「しかし一度死んだのに再び動くだなんて、にわかには信じられませんね……」
「失礼ねー、ブリュンヒルデ。アタシが嘘つくわけないでしょ。アナウンスしながら見てたんだから、間違いないわよ」
「フロックお姉さまを疑っているわけではありません。今更こんなものが出てきたというのが信じられないのです」
ブリュンヒルデと呼ばれた長身のヴァルキリーが、棺の中を見つめる。
そこには案の定、アクセルの身体が修復された状態で寝かされていた。首も取れていないし、内臓も飛び出していない。身体の蘇生は既に完了しているみたいだ。
フロックが面倒臭そうに言う。
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