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第1821話
「タアァァッ!」
鍔迫り合いに押し勝ち、武器を弾き上げて正面から斬りつける。
右から薙ぎ払われた小太刀を軽くいなし、左の小太刀で相手の腕を斬り落とした。思った以上にスパッと斬ることができて、アクセルは妙な高揚感を覚えた。
――わかる……! 向こうがどう動いてくるか、次どうすればいいか全部わかる……!
最高傑作は確かに強い……が、今まで死合ってきた戦士の方が余程強かった気がする。
どの死合いもギリギリの勝利、あるいは引き分けだったし、決勝戦で戦ったケイジには残念ながら敗北してしまった。まったくもって手も足も出ない相手もたくさんいた。
それに比べれば、目の前の最高傑作など恐るるに足らず。
狂戦士モードとはまた違った感覚だが、腹の底から勇気と力が湧いてくる。
――きっと、みんなが力を貸してくれているんだ……。
今までの経験が、関わって来た人たちが、アクセルの糧となって力を与えてくれている。
様々な苦難を乗り越えてきた自分が、透ノ国の地下で眠っていただけの魂に負けるはずがない。
「ハアアアッ!」
腕が千切れて怯んだ相手に、容赦なく追撃をかけていく。
もう片方の腕も肘から落とし、太ももを断ち切り、よろけた脇腹をざっくり抉ってやった。
「う……ぐ……」
立っていられなくなったのか、相手はどさっとその場に倒れた。
両手と片脚がなくなっても、彼はもぞもぞと地面を這っていた。そして震えた声でこちらに訴えてきた。
「いやだ……俺も生きたい……。ちゃんとした身体もらって、普通の個体として、生きたかっただけなんだ……。きみがよくて、何で俺はダメなんだよ……。こんなのずるい……不公平だ……」
「…………」
アクセルは武器を下ろした。
這って来る最高傑作を眺めつつ、小さく溜息をつく。
――申し訳ないけど……この姿で這ってこられると、逆にみっともなく見えてしまうな……。
自分の姿だから余計にそう思うのかもしれない。
諦めたくないのはわかるが、潔く負けを認めるのも戦士としての誇りであろう。両手を落とされ、足もなくして戦闘不能になったのなら、それはもう完全な敗北なのだ。
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