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第1827話

「……つまりあなたは、何が何でも俺たちに透ノ国の管理を押し付けたいってわけですね」 「語弊のある言い方ですが……まあ、そんなところです。できなければわたくしは処分でしょうから、それならいっそ最期までお役目を全うして死にたい……」 「……そうですか」  どこからツッコんでいいかわからなくなってきたが、とりあえずシグルーンの気持ちは伝わった。内容はともかく、自分の役割を遂行して死ねるのはある意味幸せなことだ。そんな幸せを、むざむざ与えてしまうのもシャクだった。  ――これ以上、こいつらの思い通りにさせてたまるか……!  アクセルは背中の兄をもう一度背負い直し、ハッキリとこう言ってやった。 「わかりましたよ、やればいいんでしょう。透ノ国の管理、俺たちが引き受けます」 「え……」 「ただし、任せたからにはこっちの好きにさせてもらいますからね。ずっと透ノ国にいることはしないし、定期的に訪れて国の見回りをするだけに留めます。要は問題が噴出しなければいいんでしょう? 予言の石板が復活したとか、変な化け物が生まれたとか、そういうことが起こらなければどう管理しても大丈夫なはずです」 「え……ええ、まあ……」 「わかったら、これ以上俺たちに構わないでください。勝手に蘇生中の棺を運び出すなど……迷惑この上ないです。あなた達が余計なことをしなければ、兄上がズタボロになることもなかったんだ。今までも何度か舐めた対応はありましたけど、今回はさすがに度が過ぎています。絶対に許しませんので、そのつもりでいてください」 「…………」 「では、俺たちはこれで」  アクセルは足早にその場を去り、世界樹(ユグドラシル)を通ってヴァルハラに戻った。背中の兄は意識を失くしていたが、かろうじて息はしているようだった。  アクセルは泉へ直行した。 「ねー、あんな啖呵切っちゃってよかったのー? また面倒なことにならないー?」

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