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第1833話
「正直、勝手に返事したのはいただけない……けど、それ以外に落とし所もなさそうだしね。また棺ごと持って行かれても困るし、それならある程度の妥協点を探った方がいいのも事実だ」
「そ、そうだよな……」
「でも、これ以上は譲歩しない。またヴァルキリーたちが変なことを要求してきても、今度はきっぱり断るんだよ? こっちが譲歩し続けてると、向こうはどんどん図に乗ってくるからね」
「ああ、それはもちろん。そこはちゃんとわかってるよ」
そう言い切ったら、兄はまた小さく微笑んでくれた。
その後は二人で並んで浴槽に入り、モコモコの泡風呂を楽しんだ。兄が作った泡を頭に乗せてくれたり、バスタブに泡のピピを象ったりしてとても楽しかった。
――ケイジ様とトーナメントの決勝戦を行ったなんて、遠い昔のことみたいだな……。
時間的には昨日か一昨日の話だろうに、一ヵ月くらい前のことのように感じてしまう。
それもこれも、ヴァルキリーたちがわけのわからないトラブルを起こしてくれたせいだ。前々からヴァルハラの管理も杜撰だったし、無駄に兄を怒らせて傷つけるし、今度ばかりは絶対に許せない。
以前兄がチラッと言っていたが、ヴァルハラの自治権を獲得するためにヴァルキリーたちと全面戦争するのもアリな気がしてきた。
まあ、本当にやるかどうかは別だが、仮に戦争になってしまったら積極的に参加するつもりでいる。
泡まみれになった身体をもう一度お湯で流し、水分を拭きとって就寝着に着替えた。そして自分のベッドに入った。
「お前、相変わらずしれっと寝ようとするよね」
兄がこちらを見下ろしながら言う。
「一人で寝たいならそれでもいいけど。それなら私はこっちのベッドで寝るね」
「えっ……!?」
ぎょっとして半身を起こしたら、兄はさっさと隣のベッドに入ってしまった。
てっきり、当たり前のようにこっちに入ってくると思っていたから肩透かしを食らった気分だ。たまには自分から誘ってこいということか。いろいろ迷惑もかけたし。
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