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第1841話*
「ああ、う……ふぅ……っ! だめ、もうだめ……くるしぃ……っ!」
「ありゃ……まだ一回しか出してないけど、もうお腹苦しくなっちゃった? それとも、感じすぎて苦しいの?」
「ど、っちも……んんッ!」
「ふふ、そっか。ホントにお前は敏感だなぁ。敏感すぎて時々心配になっちゃうよ」
「……んっ」
何を思ったのか、唐突に兄が己を引き抜いてすぐ隣に寝そべってきた。
兄の意図はわからなかったが、失神寸前まで追い詰められていたこちらとしては助かった。両腕の拘束も解いてくれて、股間の紐も外してくれる。
「ちょっと思ったんだけど、これから私たち『透ノ国』を管理することになるわけじゃない?」
全く関係ない話を振られ、戸惑って顔をそちらに向ける。
兄は穏やかな表情で、話を続けた。
「そしたら、いっそのこと初心者から上級者まで利用できる『狩場』に作り替えちゃうのがいいんじゃない? あそこ、いろんなエリアが点在してるから住み分けは難しくないし。どうかな?」
「えっ……? ええと……」
「もちろんかなり手間はかかると思う。でも時間は無限にあるからさ。上手く整備できれば、いろんな意味で有用な場所になるはずだよ。いちいち狩場を探す必要もなくなるしね」
「それはそう……だけど、行って帰ってくるだけでも結構大変なんじゃ……?」
「そんなの、どこかにワープゾーンでも設置しておけばいいでしょ。そういう細かい部分は後から何とでもなるから、今は考えなくていいんだよ。それよりは、どうやって透ノ国を管理・運用していくかを考える方が大事だ」
それもそうか。さすがに兄は自分と違い、大局を見る目に優れている。かつてヴァルハラの改革に着手した時も、広い目で戦略を考えた上で行動していったに違いない。
「……そうだな。兄上の考えなら、きっと間違いはないんだろう……。落ち着いたら、もっと詳しいことを相談しよう……」
「うんうん。まずは狩りの引率頑張ってね」
兄が優しく髪を撫でてくれる。その感触が心地よくて、アクセルは目を細めて兄にもたれかかった。
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