1856 / 2014
第1856話
「全員集まったか? 今日の引率を担当させていただくアクセルだ」
「えっ……? あんたが引率するのか?」
「ああ、よろしく」
そう挨拶したのだが、何故かブラッドは微妙な顔をしていた。
他の新人戦士も値踏みするようにこちらを見ていたし、中には、
「はあ? こんな若造が引率するのかよ。初めての狩りなのに、あり得ねぇ」
と、あからさまに不満の声を上げている者もいた(そいつは見た目からしてベテランの戦士だったので、余計にアクセルが「若造」に見えたのだろう)。
――そりゃあ俺はランゴバルト様みたいな迫力はないけど、そこまで侮らなくてもいいじゃないか……。
見た目か? 見た目が悪いのか? こんな軽装じゃなく、もっとこう……如何にも迫力がありそうな重い鎧でも着てきた方がよかったのか?
でも、そんなこと言い出したらミューなんかどこをどう見ても少年だし、自分以上に舐められそうである。
様々な思いが頭の中を渦巻いたが、結局今更どうすることもできなくて、アクセルはヤケクソ気味に言った。
「とにかく! 今日は俺が担当なんだ。これから山に移動するから、みんなついて来てくれ」
「その前に、お前ランクいくつなんだよ?」
新人の一人に聞かれたので、この前発表された最新のランクを教えてやった。
「三十一位だよ。それがどうかしたのか?」
「何だよ、一桁ですらないのか。そんなヤツがまともに引率できるなんて思えねぇな」
髭面の山賊みたいな新人が、こちらを嘲笑してくる。
――一桁ですらないって……自分のことを棚に上げて何言ってるんだ、コイツは……。
新人のランクなんて最底辺だっていうのに、よくもまあそんなことが言えたものだ。
というか、こんな無礼な口を利いたら、人によってはその場で切り捨てられていてもおかしくない。アクセルはそんなパワハラめいたことはしないけど、これが兄だったら間違いなく首のひとつやふたつ、飛んでいただろう。
腹立たしく思いつつも、アクセルは心を落ち着かせ、続けた。
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