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第1866話(フレイン視点)
「ああいう感じの山だったら、上位ランカーの引率なんていらねぇと思ったんだよ! 第一、お前らだって最初はアクセルさんのこと舐めてたじゃねぇか! 『さん』付けもしてなかったしよ!」
「あいつが上位ランカーだって知らなかったんだから、仕方ねぇだろ! 名乗られてからは一応従ってたよ!」
ごちゃごちゃ言い訳を続ける三人に、いい加減イライラしてきた。
フレインは愛刀を一振りし、三人の肩をまとめて斬りつけた。
「ぐあっ……!」
男の潰れたような声と共に、泉に赤い血が溶け出していく。
それを見てあえてにこりと微笑み、痛みに悶えている彼らを見下ろした。
「ごめん、順番を設けるべきだった。そんな風に話されたら、こっちも何がなんだかわからないや」
「っ……」
「じゃあまずは黒髪のきみから。きみはさっきの実行犯? を止めてたみたいだからね。詳しく話を聞かせてもらおうか」
「は、はひ……」
黒髪に赤いメッシュが入った男は、ブラッドと名乗った。
それによると、アクセルが山に連れて行ってくれた途端、ドムとかいう髭面の新人が勝手に一人行動を始め、狩りの得意な別の新人と共にどこかに行ってしまったのだそうだ。
自分たちは周辺なら探索していいと言われたが、念のために緊急呼び出し用の鈴を持たされたという。
――ああ、あの子自分の鈴を分けてあげてたのか……。
如何にも弟らしくてちょっとホッコリしてしまう。トラブルに見舞われても新人のことをちゃんと考えられるなんて、本当に優しい子だ。
まあ、その優しさが仇になることも多いのだが……。
「……なるほどね? で、そっちのきみは? アクセルに助けてもらったんでしょ? 何があったの?」
「じ、実は、その……」
彼曰く、アクセルから離れてしばらくしたところで妙な気配を感じた。
その気配を追いかけてみたら、一頭の馬を発見した。見たことがないほど大きな馬だった。
何となく嫌な予感がしたのでドムに「アレはやめとこう」と言おうとしたのだが、それより先にドムが矢を放ってしまった。
それで馬が怒り、こちらに襲い掛かってきた……というわけらしい。
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