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第1870話(フレイン~アクセル視点)
じゃあ自分がこっそりついて行けばいいのか……と言えば、それもどうなんだろうと思う。何でもかんでもフレインが出しゃばってしまったら弟が成長する機会を奪ってしまうし、アクセル本人にも煙たがられてしまうだろう。
だから今回は、本当にいろんな不運が重なった結果だと割り切るしかない。実際、スレイプニルの気まぐれ散歩なんて予見できるはずないし。
――後味悪いな……。
どうしようもなかったとはいえ、弟を守れなかったという罪悪感は残り続ける。自分がもっと気を配ってあげられたら……などと、つい考えてしまう。嫌なトラブルだ。
――というか、何でいつもアクセルばっかり、そういうトラブルに巻き込まれちゃうんだろ……。
危機意識が低いのはともかく、それを差し引いても壊滅的に運がないような気がする。
フレインはそういったトラブルにはほとんど遭遇したことがないのに、アクセルは道を歩けばすぐトラブルにぶつかっているように感じるのだ。この差は何なんだ? 弟の何が悪いんだ?
「…………」
フレインは身体を起こし、ソファーから立ち上がった。そして軽く戸締りをして、ある場所に向かった。
***
翌日、アクセルは棺の中で目を覚ました。一瞬、何でこんなところで寝ているのかわからなかった。
――ああ、そうか……。俺、狩りの最中に新人に襲われて……。
スレイプニルに襲われている新人をどうにか助けたら、後ろから新人――確かドムだっけ――に撲殺されたんだった。スレイプニルのオーラは人を狂暴化させるから、仲間での同士討ちみたいなことも起こり得ると聞いている。まったく、とんだ目に遭ったものだ。
――でも、棺に入れられてるってことは誰かがここまで運んでくれたんだよな……?
ちゃんと運んでくれてよかった。死体のまま山に放置されていたら、獣に喰われて復活できなくなっていたかもしれない。
アクセルは棺から抜けて外に出た。陽の光がちょっと眩しかった。
「あ……復活したのか、あんた……」
館の前の階段を下りたら、黒髪の赤いメッシュの新人と出くわした。引率していた新人のうちの一人だ。
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