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第1871話
「ああ、ブラッド。きみは特に怪我はなさそうだな。よかった」
「あー……いや、あんたの兄貴に腕一本持って行かれたけどな……」
「えっ? 兄上が? どういうことだ?」
ブラッドがその後の経緯を簡単に話してくれた。
どうやらドムがこちらを殴り殺した後、兄・フレインが現れ、ドムを斬ってから棺に運んでくれたらしい。他の三人も同罪とばかりに、ブラッドたちの腕も一本ずつ斬り落としたんだそうだ。
――げ……また兄上はそんな過激な方法でキレちゃったのか……。
弟を殺されて腹立たしかったのはわかるが、斬るのはドムだけでよかったんじゃないかとも思う。ブラッドは最初からこちらの指示に従ってくれていたし、彼からすればとんだとばっちりだ。
「それはすまなかったな……。兄上は一度キレると、俺ですら宥めるの大変なんだ……」
「……だろうな。まああんたを舐めすぎてたオレたちも悪かったけどさ。それにしたって、あんたの兄貴はヤベェよ。よくあんなのと一緒に暮らせるよな」
「そ、そこまで? 普段は穏やかで優しい人なんだが……」
「それは知らんけど、とにかくオレはちゃんと謝ったからな。『家まで謝りに来い』なんて無茶なこと言わないでくれよ?」
それだけ言うと、ブラッドは逃げるようにアクセルの前から消えた。
残されたアクセルは、仕方なくそのまま自宅に帰った。
さて、兄はどんな反応を示すだろうか。こちらは第一声に何を言えばいいのだろう……。
「ぴー♪」
何となく気まずくてベランダから様子を窺っていたら、ピピに気付かれてじゃれつかれた。
「ああ……ピピ、元気そうだな。心配かけてすまなかった」
「ぴー」
「でもちょっと待ってな。嬉しいのはわかるが、今家に入るところで……」
ピピをいなしていると、兄が気付いてベランダの窓をガラッと開けてくれた。
「なんだ、もう帰ってきてたのかい? これから迎えに行こうと思ってたんだよ」
「あ、ああ……今回は殴打だけだったからな。四肢が吹っ飛んでいる時よりも、蘇生が早かったんだろう」
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