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第1880話

「……なら、最近そういった召集がかからないのは何故だ? ヴァルキリーの管理体制が変わったのか?」 「多分、ヴァルハラをしっかり管理するタイプのヴァルキリーが、ラグナロクで軒並みいなくなっちゃったんだと思う。あれは神々と巨人の大戦争だったからね。ヴァルキリーだって全員駆り出されたし、戦死しちゃった人もいるんだよ」 「そうか……」 「……お前だってラグナロクで一度消えちゃったけど、どうにかオーディン様に泣きを入れて復活させてもらったんだ。今思えば、あれは特例中の特例だったな。まあ、例え渋られても復活させてもらえるまで粘り続けるつもりだったけど」 「…………」 「まあとにかく、今のヴァルキリーがクソなのは、そういう連中しか残らなかったからってこと。戦闘力に秀でているのは確かだけど、ヴァルハラを管理する能力は備わっていなかったんだ。ノウハウも引き継がれなかったみたいだし、管理が杜撰になるのも頷けるね」 「……なるほど、そういうことか」  兄の説明に、少し納得がいった。  ――でも、それならそれとして生き残ったヴァルキリーたちで上手く管理する方法を模索すればいいのにな。  とりあえずレポートができたので、ヴァルキリーのところまで提出に行った。  いちいち世界樹(ユグドラシル)を通って受付まで行かないといけないのも面倒臭い。レポート提出用のポストくらい作ればいいのに。いっそこちらで作って設置しちゃおうか。 「さて、それじゃ夕飯にしようか」  家に戻ったら、兄がテーブルに夕飯のセッティングをしてくれていた。熊カレーをアレンジしたカレーグラタンの匂いが食欲をそそった。  大きなグラタン皿からピピの分もよそってやったら、ピピは大喜びでグラタンを平らげた。口周りがカレーで汚れていたから、後で拭きとってやらないと。 「何だか今日は少し食べすぎた感じがするな。明日からみっちり鍛錬しないと」  夕飯の片付けをしてから風呂に入り、就寝着に着替えて軽いストレッチを行う。  復活してから雑用で一日が終わってしまったので、少しでも身体を動かさないと鈍ってしまう。

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