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第1882話
「あと五秒……四、三、二、一……はい、OK」
「……はぁ」
右脚を下ろし、安堵の息を吐く。どうにか耐えられてよかった。
兄もにこりと微笑み、優しく頭を撫でてくれた。
「うん、ちゃんとできたね。偉い偉い」
「ま、まあな……」
「じゃあ、次は反対かな。左脚上げて」
「え……!? まだやるのか!?」
「当たり前じゃないか。鍛錬は左右平等にやらないと、バランス崩れちゃうでしょ。さっきは軸足だったけど、そうじゃない方の脚も同じくらい強くないといけないよ」
「それはそう、だけど……」
「はい、両脚閉じて、背筋を伸ばして、左脚を上げる……はい!」
掛け声と共に、ほとんど反射的に左脚を上げてしまう。
この分だと、また変な刺激を加えられつつ、一分以上片足立ちを強制させられるのだろう。
こういう時の兄は、何故か急に意地悪でスパルタになるから、アクセルとしては戸惑ってしまう。
――でもまあ右脚の時は何とかなったし、左脚も大丈夫だろ……。
そう思って無心で耐えていたのだが、
「ああ、そうだ。ついでにこれも使おうか」
「……え? あ、ちょっ……!」
椅子に引っ掛けてあったタオルを目元に巻かれ、目隠しをされてしまう。
視界を奪われた途端バランス感覚が失われ、ほんの少しの刺激でもグラグラ身体が揺れてしまう。
「ちょ、兄上……! こんな、目隠しなんて無茶だ……!」
「はい、文句言わないの。これもトレーニングなんだから。体幹が強ければできるはずだよ」
「そんな……」
「はい、あと一分―」
そんなことを言いつつ、兄が尻を揉んでくる。
それだけでもぞくぞくしてしまうのに、目隠ししての片足立ちなんてできる気がしなかった。
「っ……ひあっ!」
その上、尻の割れ目からつつつ……と背中までなぞられてしまう。
視界が生きていれば我慢できたはずだが、何も見えない状態だと余計に感じてしまい、
「だ、だめ……兄上やめて……あっ!」
とうとう我慢できなくなり、早々に左脚を着いてしまう。片足立ちチャレンジ失敗だ。
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