1890 / 2296

第1890話*

「で? 実際のところどうなの? 一人でお風呂入ってる時に抜いたりしてる?」 「っ……」 「ああ、別に一人でやる分には怒ったりしないよ? でも、上手くできないからって誰かに触らせたりはしてないよね?」  兄がずいっと顔をこちらに近づけてくる。若い肉棒を掴み、くりくりと先端を刺激しながら回答を強制してくる。  ――な、何で今更そんなこと聞くんだよ……。  さすがにショックで涙が出てきた。  一人で発散どころか、兄以外の人に触らせたことなんて一度もないのに。ここまで兄一筋を貫いているのに、どうしてこのタイミングでそんなことを聞かれたのか理解できなかった。  アクセルはぐすん、と鼻をすすりながら涙目で答えた。 「するわけないだろ……! どっちもしてないよ……!」 「? どっちもって、自分でも触ってないの?」 「触ってない……! だって、自分では上手くできないし……」 「……あ」 「わ、わかってるくせに……! 俺が兄上ナシじゃ発散できないって……うっ……ぐす」  以前風呂場で兄に自慰を強制された時、結局上手くできなくて泣きべそをかいてしまった記憶がある。  それ以来自分で触るのが嫌になって――触ったところでどうせイけないまま終わってしまうから――こういった発散は全部兄任せになってしまったのだ。  そもそも溜まる前に兄に抱かれてしまうので、発散する必要もない。  そのせいでアクセルは生まれてこの方、ほとんど自分で触ったことがなかった。そのことについて困ったこともなかった。  ――だって、俺は兄上の側を離れないし……。離ればなれになったとしても、それは一時的なことだし……。  アクセルにとって「兄と寝ること」は、既に日常の一部になっているのかもしれない。  やりたい放題にやられてしまうけど嫌ではないし、様々な羞恥プレイも兄が相手だからこそ許容できていたのだ。  なのに、今更そんなことを聞いてくるなんてひどい。兄はこちらを何だと思っているのか。 「あああ、ごめんね。お前を疑ってるわけじゃないんだ。ちょっと聞いてみたかっただけで……ごめんね、今のは意地悪だった」  宥めるように、兄が頬を撫でてくる。

ともだちにシェアしよう!