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第1895話
アクセルは当たり前のように挨拶した。
「ユーベル様、こんにちは。今日はおしゃれ着の洗濯ですか?」
「ええ、そうです。上質な衣装は、洗濯にも気を遣わないといけないのでね」
しかし……と、ユーベルがやや苦い顔をする。
「ここにある魔法のドラム……確かに何でも洗えて便利ですが、ひとつ前に使った人の衣装によっては、色や臭いが移ってしまうこともあるんですよ。それが生々しい臭いだったら、本当に最悪です」
「……えっ?」
「あなた達兄弟もね……。お楽しみは人それぞれなので、そこをとやかく言うつもりはありません。が、もう少し節度を持って楽しまれた方がいいと思いますよ」
「えっ!? い、いや、あの……それってつまり……」
「皆まで言わせるんですか? まあ、恥をかくのはあなたなのでわたくしは構いませんが」
「っ……!?」
アクセルはサッと青ざめた。
この人、この洗濯物が事後の結果だってわかって言ってるのか!? というか、見ただけで何をしたかわかるものなのか!? だとしたら恥ずかしすぎるんだが……!
何と答えていいかわからず、しどろもどろになっていると、ユーベルは表情を変えずに続けた。
「とにかく、魔法のドラムを一気にいくつも使用するのは他の戦士の迷惑にもなりますので。ほどほどにしてくださいね」
「は、はひ……すみません……」
顔を伏せ、いそいそと洗濯物を積み込む。
――うう……恥ずかしすぎる……早く帰りたい……。
自分たちだけで楽しんでいる分には、どんなに乱れても問題ないと思っていた。家の中でやっていることだから、周りに迷惑はかけないだろうと考えていた。
それがまさか、洗濯物でそんな迷惑をかけていたなんて……。
この場にいるのがいたたまれなくなってきて、逃げるように台車を押そうとした。
「ああ、そうだ。今夜あなた達のお宅にお邪魔しますので、よろしくお願いしますよ」
「……えっ? そうなんですか……?」
「おや、フレインから聞いていないのですか? 『ごちそう振る舞うから遊びに来て』と誘われたのですが」
「えっ!? それは初耳です」
言われてみれば、やけにたくさん食料を買い込んでいたような……。
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