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第1898話
さあ食べようか、と言われたので、アクセルは兄と向かい合って席に着いた。
昼食は朝食を温め直したものと、コーヒーに焼き立てのトーストである。淹れたてのコーヒーの香りが心地よかった。
「実は透ノ国の管理のことで、みんなに相談したいことがあって」
「相談したいことって?」
「いやホラ、透ノ国を管理するとは言ったけど、私とお前の二人だけじゃどう頑張っても手が足りないじゃない? 馬鹿みたいに広いし、行って帰ってくるだけでも結構な時間がかかるし。そもそも時間の流れも違うしね。ケイジとの決勝前に行った時も、帰ってきたら一ヶ月も経過してたでしょ」
「それは確かに……」
「だから、透ノ国の管理係みたいなのを新しく交代で設定した方がいいと思って。もちろん、管理係を発足するのは、国の整備をきちんと終わらせてからだよ。で、ゆくゆくは様々な時代・文化の娯楽が入り混じったテーマパークに作り替えるつもり」
「テーマパークか……」
「ヴァルハラにはいろんな人がいるからね。時代もバラバラだし、住んでいた国も違う。ユーベルみたいな中世ヨーロッパの貴族出身もいれば、ケイジみたいに東欧の修行僧出身の人もいる。そういう人でも満足できるような、ありとあらゆる時代と文化を集めた場所にしたいんだ。透ノ国はいろんな島が点在してるから、『古代の島』とか『中世の島』とかに分けて整備することもできると思って」
「なるほど……」
「そういうことも含めて、相談したいのさ。そこまで大規模な整備をするからには、やっぱりある程度人出も欲しいし。ジーク辺りにお願いすれば、真面目に仕事をしてくれる下位ランカーを集めてくれるんじゃないかな」
またガラの悪い新人が紛れ込んでたら大変だもの……と、兄が言う。
……確かに、整備の度に新人に舐められて、挙句殺されでもしたらシャレにならない。
アクセルはコーヒーを啜りながら、答えた。
「そういうことか。それなら俺も賛成だ。今夜はとっておきの食事を用意するよ」
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