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第1900話

「まあ毒見とは別に、新しくお酒は必要か。ちょっと酒屋にでも行ってこようかな」  そう言って、兄はまた出掛けてしまった。まあ、あちらは兄に任せるとしよう。  ――酒を飲むならそれ用のツマミと……あと、食後のデザートも必要かな。  メインディッシュがハンバーグやビーフシチュー等の重いものなので、とりあえずツマミとデザートは軽くしよう。細めのバゲットを取り出し、端から一センチくらいの幅に切り、皿にどっさり並べておいた。  そしてバゲットに塗る用のクリームチーズ、レバーペースト、キャビア等を用意し、一緒に置いておく。  デザートは、さっぱりしたレモンケーキを焼くことにした。これなら万が一満腹になって食べられなくなっても、自宅に持ち帰っておやつにできる。  アクセルは早速買ってきたレモンを剥き、果汁を絞って皮をすりおろした。  次に、ボウルにバターを入れてクリーム状になるまで柔らかくこね、その後砂糖を加えて混ぜる。砂糖と十分混ざり合った後は、溶き卵を二回に分けて混ぜた。  後は薄力粉やベーキングパウダーをふるって加え、生地に艶が出るまでよく混ぜてからレモンの皮を加える。  完成した生地をレモン型に流し入れ、オーブンで様子を見ながら焼けば八割方完成だ。  あとはお好みでアイシングしたり、余ったレモンの皮を振りかければよい。  そんなこんなでずっと準備に奔走していたら、あっという間に夕方になってしまった。 「こんばんはー! 遊びにきたよー!」  最初に訪ねてきたのは、ミューだった。  彼は挨拶もそこそこに家に上がってきて、リビングのテーブルにちょこんと腰を下ろした。 「今日のご飯なにー? アクセルが作ってくれたんでしょー? 早く食べたいなー」 「そう焦らないでくれ。まだみんな揃ってないからな」 「んー、じゃあ先にオードブル? それ食べたいー。何かないのー?」 「何かって言われても……」 「あるよ。弟が唐揚げ用にたくさんの鶏肉を用意してたんだ。今揚げてくれるんじゃないかな」  兄がワインを開けながら勝手なことを言い始める。

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