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第1901話

 えっ、と思っているとミューもそれに乗っかって、 「わーい! 揚げたての唐揚げ好きー。早く出してー」 「え、今から食べるのか? それじゃメインが食べられなくなるんじゃ……」 「だいじょーぶ! 僕、ご飯はいっぱい食べる方だからー。むしろそれくらい食べないと足りないかもー」  そう言われてしまい、結局その場で唐揚げを作る羽目になった。  ――唐揚げがオードブルって……どんだけ食べるつもりなんだよ……。  念のため鶏肉用意しといてよかった……と思いつつ、どんどん唐揚げを作っていく。  ついでにワインのツマミとして用意しておいたバゲットと、それに塗るクリームチーズ等も出してやった。  そんなことをしているうちに、ジークとユーベルも家にやってきた。 「よう、来たぞ」 「お邪魔いたします。こちら、手土産です」  ユーベルは、貴族御用達とやらのコンビーフを持参してくれた。これは兄が喜びそうだ。  アクセルは給仕係に徹することにして、せっせと兄たちに食事を運んだ。  兄たちは酒やツマミを堪能しながら、世間話に花を咲かせていた。 「んで? 話って何だよ?」  ポテトサラダを持って行ったところで、ジークが本題に切り込んできた。  兄は「透ノ国を管理することになった」経緯を説明し、今後どのように管理していくつもりなのかを述べた。 「……というわけだから、いろいろ協力して欲しいんだ。自分の故郷みたいなテーマパークができるんだから、悪い話じゃないでしょ?」 「まあ、それだけ聞くと悪い話ではありませんね」  と、ユーベルが頷く。彼が好意的な反応を示すのは意外だった。もっと難色を示してくるかと思ったのに。 「わたくしのユーベル歌劇団も、せっかくのお披露目の舞台が少なくてどうしたものかと思っていたんです。わたくしの文化圏に則ったサーカスでも作ってやれば、見世物としても機能するでしょうね」 「サーカスいいねー。僕も空中ブランコとかやりたいー」 「……まあ、方針としては悪くないんじゃないか? 問題は整備するのがクッソ大変そうだなってことだ」  ジークが真面目な顔で考え込む。

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