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第1911話(フレイン視点)

 ――もう……何なのさ、急に機嫌悪くなっちゃって。  フレインは一人、むくれながら洞窟内を探索していた。  念のため、アクセルの五分後に同じ西側の入口から中に侵入した。弟は一人になりたがっていたものの、心配なものは心配だ。  ――なーんでご機嫌ナナメなんだろ。私、何か機嫌を損ねるようなことしたかなぁ……?  確かに昨日、今日と食事の件で結構なわがままを言ったが、そこまでたいしたことだとは思っていない。その程度のわがままだったら過去に何度も言ったことがあるし。  何か他に臍を曲げる出来事があったのだろうか。それが何だか、フレインにはよくわからなかった。  とはいえ、あのまま会話を続けていたら絶対に売り言葉に買い言葉の喧嘩になっていたと思う。結果的には、あそこで別行動を選択したのは正解だったかもしれない。  ……モヤモヤは残るけど。  ――しょうがないな。時間になったら戻ってくるだろうし、私はなるべく玉鋼を多く採取するとしよう。  洞窟の壁に目をやりつつ、奥に進む。  やはり浅いところの玉鋼は採り尽くされているようで、錬成に使えそうなものは残っていなかった。  もう少し奥に進むと一体のガーディアンとエンカウントしそうになったので、何とか気配を殺してやり過ごした。戦っても負けないと思うが、無駄な戦闘はできるだけ避けたい。  どこまで進んだかわからないが、少しお腹が空いてきたので洞窟の隅で弁当を開けることにした。  弟に渡された弁当箱には、三つのおにぎりと昨日の唐揚げの残りが入っていた。保温のスープジャーには温かい豚汁が入っている。  フレインはおにぎりを頬張り、一緒に豚汁も味わった。 「わあ、美味しい」  米も上手に炊けているし、握り具合も最高。中の具もフレイン好みの肉のそぼろである。豚汁も豚肉やニンジン、大根、こんにゃく等の具材がたっぷり入っていてとても美味しかった。豚汁の温かさが残っているのも、ポイントが高かった。  でも……。  ――一人だと味気ないね。

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