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第1914話(アクセル~フレイン視点)

 持って行って鑑定してみないとわからないけれど、こんな深部に埋まっている素材なら、結構なお宝である可能性が高い。しかもかなり大きいし。  そうだ、せっかくなら兄への御守りとして加工してみよう。いつも自分ばかり御守りをもらっているから、たまにはこちらも何かプレゼントしたい。  そう思って手を伸ばし、魔石に触れたところでハッと手を引っ込める。  ――いや、ちょっと待て。これが罠だったらマズいことになるぞ……。  一人で行動している時って、毎回のように自分が罠にかかり、兄が助けに来てくれるパターンになりがちだ。それで兄にとんでもない迷惑をかけて、後でこちらが泣いて謝るまでがテンプレである。  もしこの魔石が持って帰ってはいけない危険なものだったら、テンプレ展開待ったなしだ。  ――ダメだダメだ! そんな失敗、もう二度としたくない……!  今まで何回兄を巻き添えにしていると思っているんだ。いい加減愛想を尽かされてもおかしくないところまできているのに、こんなわけのわからない場所で罠にかかるなんてあり得ない。  それに、今回の目的はあくまで玉鋼の採掘だ。自分がどこまで進めるようになったかは二の次であって、そのことを忘れてはならない。  ――……戻ろう。  アクセルは少し肩を落とし、元来た道を引き返した。  玉鋼の採掘が一番の目的なら、なおのこと兄がいないと意味がない。何を血迷って一人になっちゃったんだろう。自分の愚かさが嫌になってくる。  キラキラした空洞を離れ、薄暗い道に戻り、地上を目指して歩き続ける。  途中、一度だけガーディアンと戦闘になったが、問題なく倒すことができた。胴体をかち割ったら中からエネルギー源と思しき魔石が出てきたので、戦利品代わりに持ち帰ることにした。  そうしてしばらく歩いていたのだが、  ――あれ……?  唐突に分かれ道が現れ、アクセルはぴたりと足を止めた。  ――どこだ、ここ……? ***  ――おかしいな……全然アクセルと会えないんだけど……。  フレインは密かに首をかしげた。

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