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第1916話(フレイン視点)

「あっ……あ……兄上、か……。ガーディアンかと思った……」 「まったく、こんなところで何してるんだい? さっさと帰るよ」 「あの、でも……どっちが正しい道かわからなくて……」 「? 何言ってるの? 道は最初から一本しかないじゃないか」 「えっ……?」  そう言ったら、アクセルは目を丸くして岩壁を見た。  ペタペタと確認するように壁に触れ、しきりに周囲を確認している。 「え? え? あれ……? さっきまでここに道が……」 「……お前、また幻覚でも見てたんじゃないの? 怖いとか不安だとか思ってるから、いつも変なもの見ちゃうんだよ」 「そんなこと……」 「最初から変な意地張らずに、一緒に行動していればよかったんだ。そうすればお弁当だって美味しかったし、おかしな幻覚を見ることもなかったのに」 「…………」 「さ、出口はこっちだよ。お兄ちゃんについておいで」 「……はい……」  肩を落とし、とぼとぼとついてくるアクセル。足音からも落ち込んでいることがよくわかった。  外に出るまでお互い一言も発さず、沈黙の洞窟歩きが続いた。  ようやく外の光が見えてきたところで、アクセルがぽつりと呟いた。 「兄上、ごめん……」 「何が?」 「……俺、ちょっと焦ってたんだ。昨日ほとんど鍛錬できなくて、素振りもちょっと鈍ってて……。兄上のせいにはしたくないけど、食事の準備とかに忙しくて時間をとられちゃったのは事実だし……。今朝も、急におにぎりと豚汁がいいなんて言い出すから、出掛けるの遅れちゃったしな……。そういうのが積み重なったら、『兄上はわざと俺を妨害してるんじゃないか』ってついイライラしてしまって……」 「そうかい」 「あっ、そんなつもりじゃないのはわかってるぞ? でも、その……俺は兄上みたいに要領がいいわけじゃないから、『〇〇しながら鍛錬』ってのは難しくて……。だから、鍛錬の時間はキッチリ確保したいんだ。素振りすらしない日なんてのはあってはならないんだ」 「…………」

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