1918 / 2200

第1918話

 家に帰ってすぐ、アクセルはキッチンに入った。  残っていた豚汁を温め直し、ご飯も一緒に温めて熱々のおにぎりを作る。それをテーブルで待つ兄に出してやった。 「わあ、豪華なおやつ。いただくね」 「お、おやつなのか……」 「うん。お弁当が昼食で、これはおやつ。夕食とも別だよ」  そんなこと言っているが、もう夕方近いのだが。こんな時間に軽食をとって、夕食もガッツリ食べるとかナチュラルに信じられない。  ――兄上の食欲にだけは、いつまで経ってもついていけそうにないな……。  やれやれ……とアクセルは自分の弁当箱を取り出した。  一人で気を張っていたからか、今更ながらお腹が空いてきた。 「あれ、お前自分のお弁当食べてなかったの?」 「あ、ああ……いつガーディアンが現れるか、気が気じゃなくて」 「ふーん? まあ、私もなんだかんだ一人のお弁当は味気なかったからねぇ。おうちで一緒に食べた方が、結果的には美味しいかも」  などと言って、早速サケのおにぎりにかぶりついている。  アクセルもスープジャーを開けて、未だに温かい豚汁を一口啜った。我ながら、豚肉がイイ味を出していて美味しいと思う。 「あ……そうだ。実は洞窟の奥に、すごくキラキラした広間を見つけたんだ」 「え……何それ? キラキラってどういうこと?」 「ええと、こう……壁が一面宝石みたいになってて、至るところに魔石も埋まってて、宝の山っぽく見えるというか……」  一生懸命説明したのだが、兄は怪訝な表情で首をかしげた。 「そんなところ聞いたことないな。またお前の幻覚だったりしない?」 「う……その可能性も否定できない、ケド……」 「まあ実在してても幻覚でもどっちでもいいけど、お前変なもの持ち帰ったりしてないだろうね? その手の空間はどういう罠が仕掛けられてるかわからないから、気を付けた方がいいよ」 「だ、大丈夫だ! 今回は何も持ち帰ってない! 本当だぞ」  正確には、魔石をひとつ持ち帰ろうとしたけど、すんでのところで思い留まったという感じだ。やはりアレは持ち帰らなくて正解だったらしい。

ともだちにシェアしよう!