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第1918話
家に帰ってすぐ、アクセルはキッチンに入った。
残っていた豚汁を温め直し、ご飯も一緒に温めて熱々のおにぎりを作る。それをテーブルで待つ兄に出してやった。
「わあ、豪華なおやつ。いただくね」
「お、おやつなのか……」
「うん。お弁当が昼食で、これはおやつ。夕食とも別だよ」
そんなこと言っているが、もう夕方近いのだが。こんな時間に軽食をとって、夕食もガッツリ食べるとかナチュラルに信じられない。
――兄上の食欲にだけは、いつまで経ってもついていけそうにないな……。
やれやれ……とアクセルは自分の弁当箱を取り出した。
一人で気を張っていたからか、今更ながらお腹が空いてきた。
「あれ、お前自分のお弁当食べてなかったの?」
「あ、ああ……いつガーディアンが現れるか、気が気じゃなくて」
「ふーん? まあ、私もなんだかんだ一人のお弁当は味気なかったからねぇ。おうちで一緒に食べた方が、結果的には美味しいかも」
などと言って、早速サケのおにぎりにかぶりついている。
アクセルもスープジャーを開けて、未だに温かい豚汁を一口啜った。我ながら、豚肉がイイ味を出していて美味しいと思う。
「あ……そうだ。実は洞窟の奥に、すごくキラキラした広間を見つけたんだ」
「え……何それ? キラキラってどういうこと?」
「ええと、こう……壁が一面宝石みたいになってて、至るところに魔石も埋まってて、宝の山っぽく見えるというか……」
一生懸命説明したのだが、兄は怪訝な表情で首をかしげた。
「そんなところ聞いたことないな。またお前の幻覚だったりしない?」
「う……その可能性も否定できない、ケド……」
「まあ実在してても幻覚でもどっちでもいいけど、お前変なもの持ち帰ったりしてないだろうね? その手の空間はどういう罠が仕掛けられてるかわからないから、気を付けた方がいいよ」
「だ、大丈夫だ! 今回は何も持ち帰ってない! 本当だぞ」
正確には、魔石をひとつ持ち帰ろうとしたけど、すんでのところで思い留まったという感じだ。やはりアレは持ち帰らなくて正解だったらしい。
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