1936 / 2198

第1936話

 昨日の夕食を抜いたのでいつもよりお腹が空いてしまい、ベーコンエッグにウィンナー、サラダ、トースト、スープと盛りだくさんなメニューになってしまった。  出来立ての朝食を並べていると兄が起きてきて、こちらを見て少し目を丸くした。 「おや、おはよう。今日は寝坊しなかったんだね」 「ああ、バッチリ起きられた。朝からちゃんと鍛錬もできたし、調子はいいぞ」 「そっか。ならよかったね」  昨夜のことをからかうこともなく、兄は洗面所で顔を洗い、爆発した金髪を直してきた。  そして二人で向き合って朝食を採った。鍛錬後の朝食はやはり身体に沁みる。美味しい。 「そういやお前、次の死合いはいつなんだっけ?」  兄が目玉焼きにナイフを入れながら聞いてくる。ちゃんと半熟に焼いたので、黄身を割った途端黄色のソースがとろりと流れ出した。 「ああ、いつだっけな……? トーナメントが終わって以来、死合いのスケジュール見てなかった」 「後で見に行こうか。さすがにそろそろ死合いやらないと、身体が鈍ってしまいそうだ」 「俺もそろそろ兄上の死合いを観戦したいな。次は誰と戦うことになるんだろうか」  そんな話をしつつ、朝食後に二人で世界樹(ユグドラシル)の前の掲示板を見に行った。  自分の死合いは五日後、兄の死合いは一週間後に予定されていた。知らない戦士だったから、下調べくらいはしておいた方がいいかもしれない。 「……おや?」  帰りにスタジアム近くを通りかかった時、中からものすごい怒号や歓声が飛び交っているのが聞こえた。  思った以上に盛り上がっていて、通りかかっただけなのに少し驚いてしまった。 「ず、随分白熱しているな。誰の死合いなんだ?」 「さあ……? 今日はめぼしい上位ランカーの死合いはなかった気がするけど」  なら、実力が拮抗した者同士のギリギリの戦いが行われているのだろう。こんなに盛り上がっているのなら見に行けばよかった。 「兄上の死合いの時は、俺の分のボックス席用意しておいてくれよ?」

ともだちにシェアしよう!